社長に必要なのは右腕ではなく「ナンバー2」の存在である
他社をベンチマークする時に欠かせない視点は、今の状態を見るのではなく「今に至るプロセス」を見ることだと考えています。
特に組織開発に関してはプロセスが重要です。
人の集団は急には変わりませんからね。
特有のメカニズムがあり時間をかけて成長していきます。
今日の記事は、そのプロセスの中でも特に重要な段階…ナンバー2の存在について考えたいと思います。
ナンバー2を感化するのはリーダーだけど集団はナンバー2に感化され動く
まずはナンバー2の定義です。
よく勘違いされるのですが、ナンバー2は「右腕」とは違います。
何が違うのか?
右腕は「意のままに操れる」というニュアンスがありますよね?
指示ゼロ経営では社員が自らの意志で動くので右腕はいないのです。
ナンバー2は社長の思いやアイデアに共感して「一番最初に動いた人」を言います。
役職ではなく、ナンバー2はもしかしたらパートさんかもしれません。
集団は急には変わらないと書きましたが、ナンバー2の姿を見たまわりの社員が感化され、乗っかっていくイメージです。
子どもの集団で例えますね。
数人の子どもが遊んでいて、リーダー格の人が「あの山の頂上に行ってみよう!」と言い出したとします。
それを聞いた周りの子たちが一斉に「そうしよう!」とはならないでしょ?
もしそうだったとしたらリーダーは相当な独裁者です(笑)
通常は、提案を聞いたメンバーの誰か1人が「それ良いじゃん!」と言うと周りも「良いかも」となります。
ナンバー2を感化するのはリーダーですが、集団はナンバー2に感化され動くのです。
「集団はリーダーの姿ではなく仲間の姿を見て意思決定する」…これが集団が動くメカニズムです。
ナンバー2の存在ってすごく重要でしょ?
自律型組織を創る上で欠かすことのできない存在です。
でも、厄介なにはナンバー2は欲しいと思って創れるものではないってことです。
自分の意志で動く…これがナンバー2の資質ですから「お前、ナンバー2になれ!」「ハイっ」ってのはナンバー2ではありません(笑
だからリーダーにはナンバー2の心を動かす想いやビジョンを語る力が必要になります。
その力があれば自然と現れるはずですから、目を向けるべきは自分自身だと思います。
ナンバー2の重要な役割は周囲を誘うこと
さて、ナンバー2には役割があります。
それは「周りを誘う」という重要な役割です。
誰に言われなくても自分から冒険に加わるイノベーターは全体の15%程度です。
残りの大多数は彼らの姿を見て意思決定します。
その意思決定を促すのが「誘い」です。
「一緒にやろう!」ってことね。
面白い事例があります。
クリスマスイブに「カップル入店お断り」のカフェがあるそうです。
店の入り口に「カップル入店お断り」と書いたデッカイ看板が掲げてあります。
オーナー、彼女いないんだね…(笑)
でもね、そこに入るのってすごく勇気が要るでしょ?
だから店員さんが呼び込みをするそうです。
すると「しょうがないな〜」なんて言いながら店に入る人が出て、そして、店内に人がいるとさらに人が入ってくるそうです。
売り込みは逆効果というのが今のマーケティングの常識ですが、こういう場合は例外なのだと感心しました。
組織開発も同じで、ナンバー2が誘うことが重要だと考えています。
誘われればやる人が多くいるのです。
実は、集団内のイノベーター15%のその先に、大きな難関があります。
イノベーターから多数派に伝播したら(15%を超えたら)、後は勝手にムーブメントが広がっていきますが、伝播しない場合、ムーブメントは縮小の方向に向かってしまうと言われています。
その臨界点を超えることが重要で、その立役者はリーダーではなくナンバー2というわけ。
ナンバー2は必ずしも仕事ができる人とは限りません。
みんなに慕われ信頼されている人が適していると思います。
社長は自律型組織ができあがるプロセスを知る事が大事。
そしてナンバー2の心が動く想いを持つこと。
何よりも、ナンバー2を大切にして一緒に愉しむことだと考えます。
それでは今日も仕事を愉しみましょうね!
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