自然界に矛盾はない。経営の歪は社長の「力づく」が生んでいる

「押してダメなら引いてみる」という名言があります。
自然の理に適ったやり方をしよう!という教訓なのですが、「自然の流れに乗る」というのは成功の大原則なのだと思います。
 
人材育成も組織づくりも同じで、力づくでなんとかしようとするではなく「勝手にそうなっちゃう」という流れをみつけ、それに乗ることが大切です。
 
今日は、その視点から何ができるかを考えてみたいと思います。
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自然界に矛盾はない、矛盾は人の心がつくり出している

自然の流れに乗る一番簡単な方法は「主語を変えてみる」ことだと考えています。
ギラギラエネルギッシュな人ほど主語が「自分」になっていると思います。
例えば、「ヤル気を引き出す」「人を育てる」「人をまとめる」「巻き込む」「買わせる」「囲い込む」とか。
僕も使いますけどね(笑)
 
ところが、「馬を水飲み場までは連れていけても、飲ませることはできない」の諺にあるように、人は自分の意志でのみ動く生き物だから、力づくでは限界があります。
 
「人は自分の意志でのみ動く」…この人間に対する尊敬と理解を持った瞬間に、主語が「相手」に移ります。
そうなると「なんでヤル気にならないんだ!」「なんで言われなきゃ動けないのか?」「なんで買わないんだ」といった怒り、苛立ちが少し解消されます。
 
「する」のではなく「なる」
自然とそうなる環境づくりに意識が向くようになると思います。
 
そもそも人間は生まれながらにして自発的で積極的で、成長意欲を持っています。
もし、そうでなければ、全く言語の知識がゼロだったあなたが日本語のプロにはなれなかったはずです。
興味本位のイタズラも全くしなかったはずです。
 
「自然界に矛盾はない、矛盾は人の心がつくり出している」
 
私たちは子どもの頃から「自分の努力で成功を掴む」と教え込まれたので無理もないと思いますが、こと「人との関わり」で言えば、その考えは歪を生むと思います。
 
では次に「そうなる環境」について考えたいと思います。

「する」のではく「なる」…そうなる環境づくりが経営

「人は自分の意志でのみ動く「人間は生まれながらにして自発的、自律的、積極的である」
これを基本視点に置いて、「そうなる環境」を創るのが経営だと考えます。
 
消費においては「人は自分の生活を良くしたいと思っていて、そのためなら喜んでお金を使う」と考える。
人材育成(←また言ったし)では「社員は成長をしたがっていて、そのための努力は惜しまない」と考えること。
 
これが逆に「人は安いものしか買わない」「目を離せばサボる」という人間観だと、お客様との関係が駆け引きになるし、社員がサボらないように管理、監視を強めることになります。
そこにかかるコストは莫大ですので、あまり得な話ではないと思います。
 
指示ゼロ経営は、最も自然の理に適った環境づくりと言い換えることができます。
 
「愛社精神を育てる」→「大好きになるような会社にする」
「命令でしかたなく動く」→「やりたいからやる」
「言われたから研修に出る」→「成長したいから学ぶ」
そんな感じね。
 
主語を働く人に置いた時に、課題が見えてくると思います。
「やりたい」と思うような意義を、社員さんは仕事に感じているか?理解しているか?
数字だけを追う経営になっていないか?
成長の先に、どんな幸せが待っているか知っているか?
 
そもそも人は、自分が幸せな人生を送るために仕事という手段を活用しているという事実を忘れていないか?
会社がどういう状態に置かれているか?判断材料(決算書)を公開しているか?
それを差し置いて「会社のために頑張れ」「成果を上げろ」と言ったところで自発的なヤル気が出るわけないですよね。
 
人と人の集団を信頼すること。
働く目的を知ること。
仕事に意義を見つけること。
 
今の時代、自然の流れに乗った経営が求められると考えます。