利益から「ご利益」へ。これからの時代に必要な“豊かさ”の新基準

「GDPでは豊かさは測れない。詩の美しさや家族の絆、思いやりといった、私たちの人生を価値あるものにする要素は何も計測できていない」 ーロバート・ケネディー
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利益という言葉を聞くと「金銭的な富」と解釈する人が多いと思います。
売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益…ビジネスパーソンを取り巻く「利益」はすべてお金を指しますね。

利益の前に「ご」を付けるとどうでしょう。
「ごりえき」ではなく「ごりやく」と読みます。「ご」が付いただけで解釈が変わるから面白い。
金銭的な富だけでなく、精神的な富へと解釈の幅が広がります。

これからは「ご利益」が訪れる経営を目指す人が増えると思います。

国の豊かさを測る代表的な指標はGDP(国内総生産)です。一定期間内に国内で生まれた商品・サービスの付加価値の総額を指します。

世界のGDPが伸びてきた背景には「大量生産・大量消費・大量廃棄」の消費があります。
実際に、生産から廃棄までのライフサイクルは、世界的にこの30年間で大幅に短なくなっています。
僕は、1年前に量販店でセーターを買いましたが、ワンシーズン着ただけで形が崩れてしまい、捨ててしまいました。

ゴミステーションに持っていく時に、はたと「これって豊かじゃないよな〜」と思いました。

使い捨て消費を豊かだと思う人は、もはや現代にはいないと思います。
ご利益のある話じゃないですよね。
むしろ、罰が当たりそう。

僕の近所に、靴磨きのお店があります。
店主は20代の男性で、靴磨きに対する深い思いを持った方です。
昨年、お気に入りの靴を磨いてもらいました。僕はこれまで、近くに靴磨き職人がいなかったために、傷がついた靴を直せずにいて、下駄箱の肥やしになっていました。
傷つくのが嫌で、せっかく買った革靴も下駄箱の肥やしに…
結局、傷ついても構わない安い靴を買い、使い捨て、GDPに貢献してきたわけです。

先日、磨いてもらうために、久しぶりに下駄箱からお気に入りの靴を出した時、その靴を履いて出掛けた色んな思い出が甦りました。
そして、ピカピカになり戻ってきた靴を見てとても嬉しくなった。
その靴は、これからも僕の相棒として、一緒に年輪を重ねていくと思うと感慨深くなったのです。

それは、とても豊かな、ご利益がある世界だと思います。
靴職人も、喜ぶ僕の姿を見て、とても充実感を得ているようでした。

使い捨て消費に嫌気が差しているのは僕だけではありません。
リユース市場は、ここ15年ほど順調に伸びています。
2009年に1兆1274億円だった市場規模は、2022年には2兆9000億円と、2倍以上に成長しています。
また、日本国内で、1年以上使われずに放置された「かくれ資産」は、総額で66兆円にものぼります。
新しくモノを作らなくても、今あるモノを循環させれば、なんとかなるのです。
大量生産、大量廃棄を行っていた時代のようにはGDPは伸びませんが、「ご利益」のある繁栄が実現するでしょう。

もはやGDPだけで豊かさを測ることはできません。
金銭的な富以外の、複数のモノサシを持つことが大切ではないでしょうか。

あなた独自のセレクトによる、豊かさのダッシュボードをつくってみてはいかがでしょうか?
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