モチベーションや創造性は「結果に過ぎないもの」という話
これまで、モチベーションもエンゲージメントも創造性も「結果に過ぎない」ということを書いてきましたが、とても重要なことなので、改めて記事を書こうと思います。
これらは、活動に全身全霊で取り組んでいた結果とした「そうなっていた」というもので、手に入れようとしてどうにかなるもではありません。
このことは「フロー」を考えると分かります。
フローとは、活動そのものに没入している状態で、時間感覚が消失したり、すべてを掌握している万能感を感じるような精神状態をいいます。スポーツの世界では「ゾーン」と呼ばれています。
以前に、ゴルフの石川 遼選手が、劣勢から大逆転をして優勝した時に、試合後のインタビューで「多分、あの時はフローに入っていたのだと思う」と述べています。
この言葉に「結果に過ぎないもの」という特徴が表れていると思いました。入ろうとして入ったのではなく、気づいたら入っていたということですから。
フローの難しいところは、入ろうと思うと入れなくなることです。
結果を出すことに意識が偏ったり、他人の評価を過剰に気にしている時も入れなくなります。
つまり「今ここ」に生きている状態をつくることということです。
いや、「つくる」という意思が邪魔するわけですね…
これは、フローに限らず、モチベーションも創造性も同様です。エンゲージメントは、日々そういった心持ちで活動ができている結果ということになります。
以上のことを踏まえると、ビジネス界はフローを妨げる要因でいっぱいだということが分かりますね。
「常に結果を意識させる」「部下同士を比較する」「上司の評価を気にする」といったことが当然のように行われています。
そのくせに、モチベーションや創造性を部下に求めるのだから、無理の押しつけもはなはだしいと思います。
フロー研究の第一人者である、ミハイ・チクセントミハイは、フローに入る要件として、自己決定(自分で決めることができる)こと。そして、取り組みの「難易度」と「実力」のバランスが大切だと述べています。
実力があるのに簡単すぎる課題しか与えられていないと退屈になりますし、逆に、実力をはるかに超える課題を与えるとストレスになります。最初は、実力に対し、ちょっと背伸びをすれば出来そうな課題に取り組み、育てながら難易度を上げていくのが理想ということです。
また、成果を即座にキャッチできることも欠かせない要因だと言います。
「接客の際の言葉使いを工夫したら、お客様に喜ばれた」
「業務の流れを変えたら作業が早く終わった」
といった成果が理想的ですが、このように、即座に成果が出る活動ばかりではありません。
その場合、成果に繋がる「変化」をキャッチすることが有効だと思います。
リーダーの役割は、モチベーションや創造性を部下に要求することではなく、「思わずそうなってしまう」環境を整えることではないでしょうか。
最後に、この手の話は生産性の側面ばかりにスポットが当たりますが、最も価値があることは、働く人の幸福度が高まることだと思います。
そこを間違え、業績向上の手段、ツールと考えてしまうと、意識が「今」から離れ、すべてがパーになります。
つまるところ、リーダーの価値観、人生観次第ということになると思います。
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