「いい企業」とはどんな企業か?大前提を見直す時期にきた。
あなたにとって「いい企業」とはどんな企業でしょうか。
この問いに、明確な言葉で即答できることは、これからの時代の経営にとって最も重要な要件だと考えています。
なぜなら、目指すものが明確でないと企業は迷走するからです。
そして、実際に、即答できない企業の多くが迷走しています。
このことは、僕が審査委員として携わっているホワイト企業大賞の応募企業から学びました。
ホワイト企業というと、世間一般では「社員に優しい企業」と認識されていますが、我々は「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」という、大まかな定義で捉えています。
大まかにしている理由は、今の時代「いい企業」の形が多様で、1つのモノサシで測ることができないからです。
実際に審査すると、企業の数だけ「いい企業」があることに驚かされます。そして、彼らは「いい企業」を言葉で説明できるのです。
「いい企業」の姿はこの30年で大きく変わりました。
以前は、成長率の高い企業が高く評価されてきました。成長は資本主義を支える根幹だからです。株を買う時の判断基準は、その企業が、今後どのくらい成長するか?がポピュラーですよね。
しかし、世界の経済成長率は、60年間にわたり鈍化傾向にあります。
1960年代には5.5%だったのが、2010年代には1.1%、2020年代にはさらに下回ることは確実です。
成長率鈍化の主な原因は「モノの飽和」です。
このことはリユース市場が活性化していることからも分かります。
2009年に1兆1274億円だった市場規模は、2022年には2兆9000億円と、2倍以上に成長しています。
また、日本国内で、1年以上使われずに放置された「かくれ資産」は、総額で66兆円にものぼります。
新しくモノを作らなくても、今あるモノを循環させれば、なんとかなるのです。
そんな時代なのに、いまだに成長率が議論の中心にある原因は「成長率以外の何を充実させれば、私たちは豊かだと思えるのか?」…ビジョンを持っていないからです。
成長率が鈍化しているにも関わらず、それを伸ばそうとするのは、例えるならば、下りのエスカレーターに逆走して登ろうとする行為と同じです。そんなことを今後も続ければ、益々働く人の心身を蝕むことになることは必至です。
もちろん、今後も、経済面のモノサシは必要ですが、それ以外の豊かさを測る、複数のモノサシを併せ持つことが大切だと思います。
モノサシは企業によって変わります。
最後に、ホワイト企業大賞に応募された企業が考える「いい企業」を少し紹介しますね。
「経営理念」「使命」を中心軸に、全社員が顧客満足の実現を目指して全力邁進することで、その仕事の真のやりがい、自身の成長を実感できる企業。
機械的な組織の逆、生命力の高い組織。機械的な組織では、人は歯車のようなパーツとして認識され、その人らしさは重視されず効率ばかりが重視されかねません。生命力の高い組織とは、一人ひとりが本来持つ衝動・その人らしさが開放されており、その会社らしい形となっている企業。
働く一人ひとりが個がもつ強みや魅力を最大限に生かし、 そして苦手なことは補い合える企業。そうすることで、個々人のパフォーマンスが最大化され、 内なるモチベーションも上がり、 結果として組織が健康的でありながら 社会に貢献できると考える。
いずれの企業も「いい企業とは?」を測る独自のモノサシを持っています。
もし、あなたの会社で「いい企業」の定義がはっきりしていなかったとしたら、新年度が始まる前に、時間をとってじっくりと思慮してみてはいかがでしょうか。
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