自由な社風は「自由ではないもの」と向き合うことで創られる

社内のルールは自分たちで決めてもらうことをお勧めしています。
その理由は、人は、自分(たち)で決めると物事を自分事にするからです。他人が決めたルールは守らないが、自分たちで決めたルールは守るものです。

ルールを自分たちで決めると、結果的に「ルールが要らなくなる」という現象が起き、究極的に自由になれることも魅力です。

どうしてルールが要らなくなるのでしょうか。

私たちは、頭で考えずとも身体レベルで理解している暗黙知があります。
例えば、日本人であれば、どんな素人が生け花をやってもだいたい「7:5:3」の非対称の形にすると言います。あまりに自然にやってのけるので遺伝子に刻まれているのか?と思ってしまいますが、そんなことはなく、育つ過程で美意識を身に付けたと考えられています。

ルールを自分たちでつくる過程では、公平性や組織全体への影響、持続性など、多くの事柄を考えますので、ルールができる頃には、その意義を深いレベルで理解します。
こうして結果的に、ルールが要らなくなるということが起きるのです。

例えば、ある小学校の学級では、給食を食べ終わるのが遅く、給食の職員に迷惑をかけているという問題を抱えていました。そこで、担任が「何時までに食べ終わるように」といったルールを作りましたが、守らない子が何人もいました。
全員が時間までに給食を済ませないと食器を返却できません。

担任は困った末に、ルールを自分たちで決めさせることにしました。
すると「タイムキーパーをつくる」「会話は最低限にする」といったアイデアが多数出たそうです。
中には、変なアイデアもあったそうですが、担任は口出しせず、まずはやらせてみることにしました。
ルールは固定せず、必要に応じ加筆、修正、削除しアップデートします。
すると、時間の経過とともに洗練されシンプルになったそうです。
そして、最終的には次の文言だけが残りました。

「給食の職員さんに迷惑をかけない」

職員に迷惑をかけるからルールを作ったのに、課題そのものがルールになったのです。

ルールを自分たちで決めると「他者の目」という効果もあります。
その効果が注目された、ある刑務所の実例があります。その刑務所は、中心部に監視塔があり、その円周上に独房が配置されています。

この形態を「パノプティコン」と呼びます。
パノプティコンでは、囚人は「いつも監視されている」という心理的圧力を受けます。実際には、常時監視しているわけではないのですが、構造上そう感じさせるのです。
その意図せぬ効果により、囚人の生活態度は他の刑務所に比べ良くなるそうです。

ルールをみんなで決めると、監視の目の数が多くなるのでルールを守るようになるのです。

この話を聞くと、集団監視社会のようで怖いと感じるかもしれませんが、私たちが自然と身につけた倫理や道徳は、ほとんどが他者の目により形成されています。
自由とは、自分の自由だけでなく、他者の自由を尊重した時に成立するものなので、しがらみに向き合わなければならないと思います。

ただし、同調圧力に支配されてしまっては、出る杭が打たれ、新規創造ができない組織になっていまします。
必要であればルールを根本から壊すことが必要ですし、その先導こそリーダーの役割ではないでしょうか。

自由とは何の努力もなしに手に入るものではなく、自由でないものと向き合うこと、そして建設的破壊とがセットで獲得できるものだと思うのです。
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