否定的な考えの部下が肯定に変わる。リーダー必須の対話術。
考え方が否定的な部下はいませんでしょうか。
何か新しい取り組みをしようと提案しても、「でも…」と否定から入る人です。
でも…
「毎日の業務が忙しくて…」「これまで何度も新しいことに挑戦したけど、どれも中途半端でしたよね?」「失敗した時に、自分のせいにされたら嫌です」
挙げればキリがありませんが、やる前からこのようなことを言われると、チーム全体の士気が下がってしまいます。
しかし彼らは、集団に新しいことが普及する際に欠かせない存在です。
リーダーにとっては「否定的な人」に映るかもしれませんが、別の視点から見れば「リスクを考慮できる人」だからです。
リスクを考慮できる人が納得した時に、物事は集団全体へと普及します。
例えば、i phoneが日本に上陸した2008年の秋、発売の1週間も前から寝袋持参で並んでいた人がいます。彼らを「イノベーター」と言います。
そこまではしないが、発売直後に購入する人を「アーリーアダプター」と言います。
両者は新しものに肯定的な人たちですが、人口比率的には少数派です。
多数派には「積極派」と「慎重派」の2種類がいます。
積極派は、イノベーターとアーリーアダプターが楽しんでいると購入します。慎重派はi phoneに不具合がないことを確認してから購入します。
社内にいる何かと否定的な部下は、慎重派に属する人です。
慎重派は、成功事例があれば動くのですが、上手にマネジメントすれば、成功事例を作る際にも知恵を貸してくれます。
その方法は、否定のエネルギーを肯定に変えてしまうものです。
部下に否定的なことを言われると、つい抵抗したくなりますが、一旦受け止めて次の問いを投げかけます。
「どうなったら理想だと思う?」
例えば、「でも、毎日の業務が忙しくて」と言ったならば、「その状態がどうなったら理想かな?」と問うのです。
答えは言うまでもなく、「日々の業務にゆとりができる」ということですが、多くの場合、問いに対する答えを飛ばして「そんなことは不可能」などと言い出します。
その場合は、「方法は後で考えよう。今は理想だけを描こう」と促します。
相手を否定せず、感情的にならずに、相手を尊重し真摯に接すると、相手もそれに応えてくれます。
理想が出たら、次は「どうすればゆとりを作ることはできるかな?」と、理想の実現に向けて知恵を出してもらいます。
その際、リーダーは心から感謝の気持ちを表明します。部下は、自分がチームの役に立ったと感じ心地よくなるはずです。人は心地よいことは次にも体験したいと思うので、このコミュニケーションの蓄積で徐々に変容していくでしょう。
この手法は、リーダーと部下との間に信頼関係が欠かせませんが、逆に、こうした対話が信頼関係を醸成します。
非常に時間がかかることですが、リーダーにとって必須のコミュニケーション術だと考えています。
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