使ったら何も残らない「消費」ではなく、心に何かを残すビジネスを目指そう

日本は、賃金が上がらないとか、労働生産性が低いとか、マイナスのニュースばかりが流れてきますが、それでも豊かな国だと思います。
失業率は世界でも最も低く、国民皆保険が整備され、平均寿命は世界一です。
ほとんどの人は、十分にモノに満たされた生活を送っていますし、全国どこにいても安心・安全な生活を送ることができます。

世界各国で実施されている「世界価値観調査」では、日本人の生活満足度は、ここ30年で大幅に向上しています。
(満足度の高い人は増えたが、一方で満足度の低い人は減っていません。貧困対策が不十分だということは看過できないことです。)

内閣府の「国民生活に関する世論調査」を見ても明らかです。調査の中に、「これからは心の豊かさの時代か、まだ物の豊かさか」という設問があります。
それによると、1972年には、「物の豊かさ」と答えた割合が40%なのに対し、「心の豊かさ」は37.3%でした、それが2019年には、それぞれ、29.6%、62%と、大幅に逆転しています。

これまでずっと抱えてきた「物質的欠乏の解決」というミッションは、ほぼ達成したと言えます。同時に、企業は、これから本格的な淘汰の時代に入ると思います。
物質的に満たされている上に、人口が減ります。モノの市場は大手が有利ですから、一部の勝者が総取りすることは必至です。

中小企業は真剣に「モノを満たす以外の豊かさ」について考えなければいけないと思うのです。

そのために「消費」というものを今一度、考える必要があると思っています。
消費とは、文字通り「使ってなくす」ことを意味します。ワインは飲めばなくなりますし、服は着れば劣化しますし、家や車だって経年劣化して、いつかは朽ち果てます。

しかし、世に中には「消費しても、何かが残る」商品やサービスがあります。
残るものを考えると「心の豊かさ」を探ることができると思うのです。

我が家で毎日のように使っているドレッシングは、使い終わった時に何も残りません。
ファストファッションで買ったセーターは、劣化が早いのですが、廃棄する時に、小さな罪悪感だけが残ります。

贅沢なものを所有することで、「他者に対する優位感」が残る消費もあります。しかし、それは他者との比較である以上、決して満たされることはなく「心を消費」することになります。心の豊かさとは程遠いと思います。

我が家は、ワインは、近所の酒屋で買うのですが、飲み終わる時に「店主、相変わらず良いセレクトをするよね〜」という感嘆の気持ちが残ります。

ディズニーランドに行けば、楽しい思い出が残りますが、僕の友人は、喜ぶ家族の顔を見ると「明日からも仕事を頑張り、また連れてこよう」という気持ちが発生し、数カ月間、残ると言います。

近所の定食屋さんは、いたって普通のお店ですが、店主の商売に対する思いを知っているので、お店に行くたびに何か、熱いものが残ります。

もし、あなたが扱う製品、商品、サービスを利用したお客様の心に、何かしらのものが残るとすれば、立派な「心の豊かさ」を提供していると思いますし、それを磨くべきだと思います。

顧客は、自分に心に残ったものを、それを提供してくれた人に返します。「ありがとう。美味しかったです」と伝えたり、ネット上に高評価を残したりと。
そのエネルギーは、あなたの働く喜びとなり、もっと喜ばれようという気持ちになるでしょう。

そんな会社が増えれば、この国の豊かさは次のフェーズに入ると思います。
精神的な豊かさは、他者を慮るゆとりが生まれ、貧困の解決にも一石を投じるかもしれません。

僕が、ブログなどで「消費者」という言葉を使わず、「生活者」…「生きる事を活き活きとされる者」と表現する理由は、こんなところなのです。

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