お金を稼ぐ手段になると、愉しいはずの仕事は辛い労働に成り下がる
我が家では、庭の片隅に小さな畑があり、休日には庭いじりを楽しんでいます。特にコロナ禍に入ってから熱心に栽培するようになりました。
今年はスイカを育ててみた。
それを見た、ある農家の方がこう言いました。
「休みの日に野良仕事をするなんて偉いね」
僕は、野良仕事ではなくガーデニングと捉えていたので、その言葉に驚いたのです。
同じような作業が、彼にとっては「労働」に、僕にとっては「趣味」になるのです。
同じ行為なのに解釈が変わるのだから面白いと思ったのです。
「仕事と趣味では求められるクオリティが違うから、かかる苦労が違う」という指摘もあると思いますが、世の中には、趣味なのに変態レベルで凝っている人はたくさんいますから、その指摘は正しくないと思います。
違いは、「お金が目的かどうか?」です。
お金を稼ぐ手段になると、愉しいはずの行為が、辛い「労働」になってしまうのです。
という気づきを得た時に、ふと、小売店を経営する友人を思い出しました。
彼は、仕事をまるで趣味のように愉しんでおり、それで高い収益を上げています。
僕がそうなった背景には、会社員時代に、数字を追う仕事ばかりやらされ、「人生を浪費している」と感じた経験があるからです。
数字を追うと、数字に追われるという働き方になります。そもそも数字は、しかるべきプロセスを経て現れるものですから、数字に追われるとプロセスづくりが蔑ろになり、数字が遠ざかり、さらに数字を追うという悪循環に陥ってしまいます。
経済的な悩みは、脳のメモリーをものすごく消費しますので、創造性が破壊され、良いプロセスづくりを毀損します。
プロセスにおいて、最も大切なことは、顧客との間に「関係性資本」をつくることです。
「喜ばれる商品を探し仕入れる」「お客様と心の付き合いをする」「最高の接客をする」…友人は、関係性づくりの行為自体を心から愉しんでいるからこそ、成果を生む好循環が築かれたのです。
関係性資本ができると、収益が急に増えたり減ったりといったリスクが減り、非常に安定するので、友人はお金の心配は皆無と言います。
いわば、ベーシックインカムのようになっているのです。
だから、本当に自分がやりたいことに集中でき、それでお客様に喜ばれる…つまり、好循環のプロセスに拍車がかかるというわけです。
理想的な商いですよね。
これからは、「仕事を頑張って偉いね」ではなく「趣味のようで楽しそうだね」と言われる人の方が繁栄する時代になると思っています。
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