個性の尊重を叫ぶ陳腐さについて

SMAPの「世界に1つだけの花」がリリースされたのは2002年のことです。
この辺りから急に、個性の尊重が叫ばれるようになったと感じています。

「歌は世につれ世は歌につれ」と言います。歌は世相を反映すると同時に、歌が世相に影響を与えることもあります。

当時は、どんな時代だったのでしょうか。

それまでは、画一的な偏差値教育を受け受験競争を勝ち抜き有名大学に入り、一流企業と言われる会社に入れば、人生はある程度安泰という時代が続きました。
そうでない人も、それなりに経済成長の恩恵にあずかることができました。

それが一気にひっくり返ってしまいました。
生活者は、一通りのモノを手にしたことで「たくさん作ってたくさん売る」という成長論理が通用しなくなり、経済成長に陰りが生まれます。
みんなが、それなりに勝つことができなくなってしまったのです。

2002年は、デフレ不況が進み、東京株式市場では日経平均がバブル後最安値を記録しました。急に「自己責任」「勝ち組 負け組」などという言葉が登場し、六本木ヒルズは勝ち組の象徴とされました。

他者と比較されることに、ほとほと嫌気がさしたのでしょうか。
「世界に1つだけの花」は、これまで続いた画一的な管理体制と競争社会に対するアンチテーゼなのだと思います。

個の尊重は、完全に市民権を得た感がありますが、どうも狭量な印象を受けるのです。
それは、「個で完結した個の主張」ということです。

そもそも、人(万物)は唯一無二の存在です。米澤晋也がこの世に2人いたら大変です。「世界に1つだけの花」は当たり前の事実を歌っているのです。

個性とは個人の中にではなく、他者との関係性の中ではじめてそれと認知され輝くと思います。
無人島で個性を叫んでもまったく意味がありませんからね。

指示ゼロ経営では個性について、次のように考えています。

「あなただからできることで他者に喜ばれ、”ありがとう。あなたがいてくれて良かった”と言われ人生が開花していく」

僕の会社に応募する人には「あなたが個性的であることは疑いのない事実です」と伝えます。
そして、「大切なことは、あなたが、その個性をもって、どう他者に喜ばれれるか?ということです」と言います。

そう考えると、そういう人物になることはとても大変なことで、私たちが軽く「個性」と呼んでいるものは、実は大したものではないことが分かります。

個性とは完成形ではなく、原石だと思います。
それを、他者に喜ばれる形に磨き上げることが、私たちの「人生の責務」ではないかと思うのです。

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