リーダーシップは「リーダーの能力」という認識の過ちについて
リーダーシップはリーダーの能力と思われがちですが、その本質は、リーダーとメンバーとの関係性の中で起きる「現象」です。
事例を引くと分かりやすと思います。
ある企業では、社長が心筋梗塞で急逝してしました。リーダーを失った社員は動揺し社内は大混乱です。
新社長には、経理を担当していた社長の奥様が就任することになりました。
と言っても、経営に関しては素人です。
社長の葬儀の3日後、奥様は社員を集め会議を開きます。
そこで、決算書などの企業情報を提示し、初めての社長あいさつをしました。
「お願いします。我が社は地域に必要な企業です。力を貸してください」
涙ながらに語りました。
奥様は社員からとても慕われており、その姿を見た社員たちは一致団結します。
亡くなった社長が現役の時よりも、社員は、自ら考え最高のチームワークを発揮するようになり、見事に危機を乗り越えたのです。
燃えるように働く社員を見た外部の人は、「奥様はリーダーシップがある人だ」と評価しますが、そのイメージは従来のリーダー像とはずいぶんと違うものです。
どんなに能力があるリーダーでも、ついてきてくれるフォロワー(味方)がいないとリーダーシップは醸成されません。
これが「リーダーシップとは関係性により起きる現象」ということです。
リーダーの「仲間を味方につける力」と、メンバーの「味方になる力」(フォロワーする力)が相まって起きる現象ということです。
どちらかが弱くても、一方が強ければ成立するのです。
つまりリーダーシップは全員の課題ということになります。
リーダーシップの醸成には「関係の質」を段階を踏んで上げていく必要があります。
関係の質が親密になるほどに、思考と対話の質が上がります。
それぞれの進化をまとめると次のようになります。
件の企業では、奥様が「助けて欲しい」と言えるということは、すでに3の段階に達していることが分かります。あるいは、危機に直面してブレークスルーを起こしたのかもしれません。
そして、4に突入します。
奥様は「私が困っているから力を貸して欲しい」ではなく、「我が社は地域に必要だから力を貸して欲しい」と言っています。
前者では同志になってはくれないでしょう。
指示ゼロ経営では、このプロセスを「親友プロセス」「統合プロセス」「波及プロセス」という概念で整理しています。
「親友プロセス」…親友のように、忖度なくものが言えるが分断しない関係
「統合プロセス」…価値観や思い、ビジョンが共有され同志になるプロセス
「波及プロセス」…同志が増えるプロセス
図の曲線は、チーム力を表していますが、見ると、親友プロセス→統合プロセスの間で、一度、落ちていますね。
これは、互いを理解し共感が生まれるまで停滞期と、自由に発言するが意見がまとまらない混乱期を意味します。
組織は、必ずと言って良いほど、一度下がってから上がるというプロセスを経ますので、「そういうものだ」と心得ておくと冷静に対応できます。
リーダーシップは関係性の中で起きる現象ということは、リーダーシップ醸成の立役者は、全員ということになります。
是非、今日の記事はメンバーと共有してください。
※親友プロセス→統合プロセスは「指示ゼロ経営マスタープログラム」でリアルに体験することができます。
社員さんと参加すると、研修期間中に同志の関係に一歩、近づくでしょう。
もちろん、お一人でのご参加も大歓迎です。
現在11期を募集中。残席7、年内最後の開催です。