モチベーションを高めるには「3つの環境」だけ整備すれば良い

経営が難しくもあり面白いのは、人間という曖昧な存在を介するところにあると思います。
モノや金は、いったん手に入れれば比較的安定しますが、人間の気持ちは刻一刻と移り変わります。
このことを「可変性が高い」と言います。

特にモチベーションは可変性が高い。
アイデアの出現は、1つのことを考え続ける時間に比例します。出現したアイデアを形にするには試行錯誤の繰り返しが欠かせませんが、それを支えるのもモチベーションです。
モチベーションがあるヤツには敵わないわけです。

モチベーションの面白いところは、金では買えないところにあります。金で釣ったとしても、すぐに元に戻ってしまいます。

だからこそ、モチベーションを制する者が競争力を持つことになるということです。

モチベーションの発現には次の3つが欠かせません。

1、意義を持つこと。
2、自分で決められること。
3、行動に対するフィードバックが得らること。

この中でも特に重要な要件は「意義」ですが、意義は、意味と違い、理屈ではなく情動に関わることです。
情動は、脳の「大脳辺縁系」という、快・不快、情動を司る部位で生み出されます。大脳辺縁系は、言語や計算はさっぱりできません。だから、どんなに正しい理屈をこねても、人のヤル気は引き出せないのです。

では、どうすれば情動を駆動させることができるのでしょうか。
それを紐解くには、論理情報では限界があるということで、僕の友人の事例を紹介します。

その友人は、アレルギー対応のパン屋さんを経営しています。
企業の理由は、店主のお子さんに重いアレルギーがあったからです。
お子さんは、幼少期から辛い思いをしてきました。12月25日に息子さんが学校に行くと、お友達からクリスマスイブで食べたご馳走の話を聞きますが、その話に登場する食べ物を何1つ食べたことがないのです。
悲しむ我が子を見ると親も罪悪感に苛まれます。
そんな人たちのために、アレルギー対応のパンづくりを習得し生業にしたのです。

ビシネスの意義は、「子どもが、お友達から、自分が食べたことがない美味しいものの話を聞く悲しみから開放すること」「親を罪悪感から解放すること」です。

パンは手段であり目的ではありません。
情動に訴える「意義ある目的」が定まると、手段は数多くあり、社員さんは自分で発案できます。仲間と考えると豊かなアイデアが出て愉しくなり、言われなくても自発的になれるのです。
よく、「ウチの社員には自発性が足りない」と嘆く社長がいますが、その原因は、社員の側にはなく、意義ある目的を語らない「リーダーの側」にあるのです。

そして、自分が関わったアイデアによって、お客様から「ウチの子がすごく喜んだの」といったフィードバックを得られたら喜びは格別です。「もっと喜ばれたい」と内発的なモチベーションが自然と生まれます。

フィードバックは、できるだけ早く得られることが重要です。
数値的な成果というのは遠い先に訪れるもので、その前に顧客に喜ばれるという現象が起き、その前に、より小さな変化があるはずです。
見落としがちな小さな変化をキャッチアップし、リーダーや仲間から、変化をつくり出したメンバーに対し感謝の気持ちを伝えることが、最短のフィードバックです。

いかがでしょうか?
このように整理して考えるとモチベーションの発揮はものすごくシンプルなのです。
パン屋さんの事例を参考に、自社の施策を考えてみてはいかがでしょうか?

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