常識を超える発想は、近くに必ずいる「あの人」が教えてくれる
企業の活動は、日常業務を回すオペレーションと、未来を創るプロジェクトとに大別することができます。
前者は、今やらないと今困るので、最優先で取り組みますが、後者は今やらなくてもすぐには困らないので、おざなりにしがちです。
プロジェクトの時間を意図して作ることが大切ですが、今日の記事では、もう1つの要諦である「メンバー選出」について考えたいと思います。
結論を先出しすると「外部の素人」を入れることがコツということになります。
重要なプロジェクトでは、経験豊富なベテランを揃えたくなります。
取り組む課題が、過去の延長線上で解決できるものであればそれで問題ありませんが、これまでにないものへの挑戦の場合、経験豊富は足かせになります。
このことは、東海道新幹線の開発プロジェクトから学ぶことができます。
世界初の新幹線は、門外漢の活躍により実現しました。
新幹線開発プロジェクトの立ち上げに際し、真っ先に反対したのは古参のエンジニアでした。200キロ以上で走る車体が、脱線の原因であるレールの歪みに耐えられるわけがないというのが彼らの主張です。
一方で、技術開発チームは、門外漢である航空機の専門家で結成されました。航空機から羽を取ったものが新幹線はという発想で開発に取り組みました。
彼らは、脱線はレールの歪みではなく、車体の振動が原因であると主張し、真っ向から対立しました。
最終的に、技術開発チームの主張が経営陣に認められ、開発がスタートし、今日に至るわけです。
これと同じ構図を中小企業で実現するためには、プロジェクトに社外の素人を入れることが有効ということになります。
素人といっても、まったく無関係の人間では務まりません。適任は、90%か80%素人、10%か20%玄人というバランスを持った人です。
これを満たす最適任は「顧客」だと考えます。
自社のことを知ってくれているが、常識からは解放されている、そして何よりも忖度なく発言できる存在です。
僕が経営してきた新聞店では、多くの顧客がプロジェクトに関わってくれました。
顧客が会議に入ると、話し合いの質が根本から変わります。議題の基調が「いかに顧客に喜ばれる存在になるか?」というものになるのです。
そもそも商いは顧客に喜ばれてナンボです。衰退している企業は、大抵、顧客に聞かせられない、自社中心の話ばかりしています。
顧客に対し、金銭的な報酬は不要です。お弁当やお土産程度で良い、というかその方が適しています。
その理由は、報酬を提示すると、それ目当ての人が集まってしまうからです。そういう人は選抜された時がゴールで、あまり熱心に関わってくれません。
対し、報酬がないのに集う人は、選抜されてからがスタートです。純粋な興味で関わってくれるので、とても熱心に意見を出してくれます。
報酬がなければ忖度などする由もありませんしね。
試しに、「顧客の声を聞く会」と称して、お得意様に声をかけてみてください。
人は、アドバイスをするのが好きな生き物ですから、意外と快く引き受けてくれると思います。
きっと、頭をハンマーで殴られたような話をきかせてくれると思います。
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