責任が伴わない自由を主張する部下への対応策
自由・平等・博愛は、フランス革命のスローガンですが、これらは対になる概念があって初めて成り立ちます。
「自由と責任」「平等と区別」「博愛と厳しさ」です。
SNSでの誹謗中傷が深刻ですが、これは、責任が伴わない表現の自由により起きていることです。
十分に民度が育つ前に道具が発展してしまったのかもしれません。
責任なき自由を主張する風潮は、企業にも侵入します。
特に、中小企業は大企業に比べ管理がゆるいので、傍若無人な振る舞いをする人が現れやすいので注意が必要です。
怖いのは、傍若無人な振る舞いは、最初の1人から2人→4人→8人と急速に伝染することです。
伝染が早い理由は、傍若無人な振る舞いは、得をする人と損をする人とに分かれるという構図にあります。
このことを、最近問題になっている「買い占め」を例に引くと分かりやすいと思います。
買い占めとは「過剰購入」なので、買い占めた人にメリットがあるわけではありません。誰も得をしない行為にも関わらず、いったん始まると歯止めがかからなくなります。
そこには次のような利害関係が作用しています。
「自分が買い占めない/相手も買い占めない」ならば→「お互い良し」
「自分が買い占めない/相手が買い占める」ならば→「自分は買えないかもしれない」
「自分が買い占める/相手は買い占めない」ならば→「自分は買える」
「自分が買い占める/相手も買い占める」ならば→「頑張れば買えるかもしれない」
このような利害条件では「自分が買い占めておけば、それに越したことはない」となります。買い占めが絶対優位の戦略なのです。
ある1人の好き勝手な行為が、得をする人と損をする人とに分かれる可能性がある場合、その行動は全体に伝播しやすいのです。
これ防ぐ方法はあるのでしょうか。
傍若無人な行為をする人は、自分がそうであるという自覚がないことが多いので面倒です。悪意があるわけでなく、自分の都合を中心に物事を考え、全体最適を考えないリテラシーの低さが原因であることがほとんどです。
リーダーは、自由と好き勝手の分別ができない人に物事を任せてはいけません。
つい、「いちいち口うるさい事は言いたくない」「もう少し様子を見てみるか」という気持ちになりますが、速攻で対応を取ることが大切です。これまで許されてきたのに、急にダメ出しをされると非常に抵抗感が生まれ、事がややこしくなるからです。
具体策としては、メリットとデメリットを勘案して判断する訓練をすることが有効です。
例えば、僕が経営してきた新聞店では、「自分は成績を上げているから遅刻をしてもOK」という謎のロジックを主張するスタッフがいました。
「好き勝手はダメ」と注意すると「成績を上げているから好き勝手ではない」と言う。
論点がズレていますね。
僕は、全体への影響を考えているのに対し、彼は自分だけの事情と捉えているのです。
さらに、よく聞くと、彼は、遅刻のメリットを「フレキシブルな働き方により業務効率が上がる」と言うのです。
確かに、それには一理あります。
しかし、デメリットもあります。彼が朝いないことで、業務連絡に支障をきたしたり、お客様からの問い合わせに即答できずに、業務が滞ったりという、全体への弊害です。
僕は、彼と、メリットとデメリットを勘案し、一緒に対策を考えました。
論点は、「フレックスOKはNGか?」という二項対立ではなく、「どうすればメリットはそのままで、デメリットが解消されるか?」と考え、新案を導き出すことにあります。
考えた結果、掲示板を設置し情報共有を行うことと、念のため携帯電話はつながるようにするという案が出ました。
彼は、自由には責任が伴うことを体験を通じ学び、真の自由を手に入れたのです。
責任なき自由の弊害が注目されている今だからこそ、訓練をする好機だと思います。
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