リーダーシップとは、つまるところ「味方」をつくること。

リーダーシップとは、つまるところ「この人と一緒にやりたい」と思ってもらえる人=味方をつくることだと考えています。

成功のレシピは「What」「How」「Why」とされています。「何を、どのように、なぜやるか?」を明確にするということですが、それを「誰が言うか?」でまったく意味が変わります。
明治維新の思いを、坂本龍馬以外の人が語ったら薩長は同盟を組んだでしょうか?
差別撤廃の夢をキング牧師以外の人が語ったとしたら、あれほどまでのムーブメントになったでしょうか?

リーダーシップには、Why、How、Whatの他に「Who」という要件が欠かせないと思うのです。

では、「この人となら」と思ってもらえるためには、どんな要件が必要でしょうか。
これを考えるににあたり、そう思って「もらえない」人を手がかりにすると分かりやすいと思います。

僕は、そう思ってもらえない人には2つの特徴があると考えています。
1つは、夢を語らないことです。
夢を語らない人が、Whyを語ると、どうしても、顕在化した問題の解消という後手の方針しか出ません。
政治家が打ち出す方針がそうではないでしょうか?
賃金の問題にしても少子化の問題にしても、環境の問題にしても、マイナスを解消するという発想が起点になっています。もちろん、起点としてはそれで良いのですが、マイナスをゼロをするだけではワクワクしません。

このように言うと、「キング牧師だって、差別というマイナスを解消しようとしたのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
キング牧師は「I Have a Dream.」と語り、黒人差別の撤廃の先にある、普遍的な真善美を説いています。

「私には夢がある。いつの日か、あらゆる谷が高められ、あらゆる丘と山は低められ、でこぼこした所は平らにならされ、曲がった道がまっすぐにされ、そして神の栄光が啓示され、生きとし生けるものがその栄光を共に見ることになるという夢である」

企業においても、目下の問題の解決ではなく、その先の先に広がる夢を語る人が求心力を持つのではないでしょうか。

「この人とならと思ってもらえない」人の2つ目の特徴は、部下を見下すような物言いをする人です。
「味方を増やす」ということであればご法度な態度です。
見下す態度を取るのは、相手を「自分の手足」と見ているからですが、それでは人は自発的に動きません。

しかし、見下している人は、自分がそうなっている自覚がないことが多い。そこで、客観視できるように、有名なレンガ積みの寓話に重ねたいと思います。

ある旅人がレンガ積みをしている3人に「ここでいったい何をしているのか?」と尋ねる話です。

1人は「見ての通りレンガを積んでいる。大変だ」
2人目は「大きな壁を作っている。おかげで家族を食わせることができる」
3人目は、「歴史に残る偉大な大聖堂を造っている。人々が救われるなんて素晴らしい」

と、それぞれが答えます。
Whyを語ったのは3人目ということですが、これが自分で、「何をしているのか?」と聞いたのを部下だとします。

部下が「ならば力になりたいです。一緒にやりましょう」と言った時、どんな言葉を口にするでしょうか?

「採用!」ではないですよね(笑)
「ありがとう」という言葉が自然と出るのではないでしょうか。

このマッチングが雇用だと考えます。
それ以外の関係は、単なる労働力の売買です。他に良い条件を示す企業があれば去ってしまうでしょう。

仲間を味方をつけた人は、リーダーシップの要件から「How」がなくなります。なぜなら「How」…どのようにやるか?は仲間が考えてくれるからです。
とても合力学的ですね。

アメとムチで人を動かす時代はもう終わりました。
社員を「味方」という視点で捉えた時に、新しい関係のあり方がイメージできると思います。
その関係性はリーダーからの働きかけでしか始まらないと考えるのです。


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