上司のアドバイスが最も効くのは「・・・」の直後

部下のためを思ってアドバイスをしたのに「余計なお世話」という顔をされたことはないでしょうか。
「嫌われているのかな?」と思ってしまいますが、そうではなく、単なるタイミングが悪かったということだと思います。
人には、アドバイスを受け入れるタイミングがあり、そのタイミングで大きく成長します。

リーダーと部下、双方が気持ちよく仕事をするためにも、部下の成長のためにも、アドバイスの最適なタイミングは知っておいて損はないと思います。

米国の研究機関「ローミンジャー」によると、人材育成の成功要因は、「経験」が7割、メンターからの指導(アドバイス)が2割、自己学習が1割だと言います。

アドバイスの効果は2割しかないと思ってしまうかもしれませんが、ウェイトが小さいからといって価値が低いというわけではありません。
料理におけるスパイスと同じで、少量でも欠くことができない要件なのです。

大切なのはタイミングです。

人が仕事に取り組む際には、次のような気分の変遷があります。

1、プロジェクト開始当初は気分が新鮮で盛り上がる。
2、なんだか分からないが上手くいかずに不安になる。
3、上手く行かない原因が分かり納得する。
4、上手くいく方法を見つけ、再び気分が盛り上がる。

この中で最も重要なポイントは「2」です。
先ほど、人材育成の成功要因は、「経験」が7割と言いましたが、学習科学の世界では経験を「想定外の体験」と定義しています。
その典型が失敗体験です。
想定外の経験により、自分の思い込みの壁が崩れ、時には悪いこだわりが消え、新しい知識を受け入れるようになるということです。

リーダーがアドバイスをするなら、このタイミングということになります。

しかし「2」まで待つことが難しい。
最近のビジネス用語で言えば「ネガティブケーパビリティ」ということになるのですが、じれったい状況を耐え忍ぶには相当な辛抱が要りますね。

エジソンが大器晩成だったことは有名ですが、いつか開花することを信頼し待ったのは母親だったと言います。

では、どうすれば待つことができるのでしょうか。
究極的には、「人間が生来的に持つ成長の力を信頼する」ということになりますが、これは天賦の才ではなく、経験によって身につけることができると考えます。

経験の定義に習えば、多くのリーダーが「早い段階でアドバイスをすれば育つはず」という想定が覆された経験を持っていると思います。
ならば、今日の情報を「なるほど」と納得してもらえたのではないでしょうか。つまり先述した変遷の段階の「3」にいるということで、実践のハードルはずいぶんと下がると思います。
そして、一度でも「じれったいけど、待ったらアドバイスを受け入れてくれ成長した」という経験を得れば、その時点でブレイクスルーだと思います。

こう考えると、部下もリーダーも、課題は違えど同じ成長プロセスをたどるということです。
教育は「共育」といいますが、本当に奥が深い世界ですね。


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