良い率先垂範 悪い率先垂範
率先垂範は、リーダーの「あるべき姿」として称賛されていますが、はたしてそうなのでしょうか?
僕は「良い率先垂範」と「悪い率先垂範」があると考えています。
まずは悪い率先垂範から考察したいと思います。
いつもリーダーが真っ先に動くと、メンバーは「リーダーに続くフォロワー」という立場に固定されてしまいます。
自ら考えることができなくなり、状況に合った最適な行動を取ることができなくなります。また、逐一、リーダーに確認してから行動していれば、今の時代に欠かせないスピード感が毀損します。
リーダーは、いつも現場に張り付いていなければならず、たまに出張に出た時も部下からの電話が鳴り止みません。
リーダーは「行動」を示すのではなく「目的」を示すことが大切です。
行動には理由があります。目的のために、ある行動を選んでいるわけですから、目的を知れば、行動は自分で考えることができます。
札幌に行くという目的が分かっていれば、飛行機が欠航しても別の方法を考えることができるのです。
知識が少なく経験が浅い社員の場合、目的を確認するだけでは考えられないかもしれません。その場合、事例を紹介したり、先輩からアドバイスを受けるといったサポートで、自ら考えられるように育てることが大切です。
最初のうちは、「自分で考えてみましたが、いかがでしょうか?」と相談に来ると思いますが、実際にやってみないと分かりませんから、やらせてみて、結果を振り返り、実践から学び成長するように促します。
人の育成は、本当に手間がかかるものですね。
次に「良い率先垂範」について。
リーダーが率先垂範すべきは、「本質的な問題の蓋を開けること」だと考えます。
ある社長は「我が社の根本問題は、本音で語り合う文化がないことだ」と、社員を前に伝えました。いつも表面的な話し合いしかできないために、課題の本質にたどり着かないのです。
本音が言えないのは、管理職クラスが部下を厳しく叱責することに加え、派閥があることが原因です。
根本問題とは、往々にして、口にしづらい「タブー」となっていることが多いものです。
タブーの蓋を開けられるとしたら誰か?…最有力候補は「リーダー」ではないでしょうか?
ビジネスの形を変える時もリーダーの率先垂範が必要です。
新聞店では、「新聞購読者の減少」「折込チラシの減少」「人手不足」といった3大問題があり、それぞれに様々な対策を講じていますが、一向に改善しません。
その理由は、「ビジネスモデルの賞味期限切れ」を起こしているからです。もう、「紙の新聞をつくって売る」という商いの形を変えなければいけないのです。
このような大きな問題提起はリーダーにしかできません。
世の中には、率先垂範を無条件に称賛する風潮がありますが、リーダーは勇気を出して「する」「しない」の選択をすることが大切だと思います。
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