自律型組織に階層は不要なのか?を考察する

「指示ゼロ経営には階層はないのですか?」という質問をよく受けます。
自律型組織を説く専門家の中には、「役職もなければ階層もない」と言う人がいて、それが従来の常識とは違うため、混乱するのだと思います。

今日の記事では、この質問にお答えします。

結論から言うと「階層や役職はあってもなくてもOK」と考えています。

「どっちでもOK」と言われると、さらに混乱すると思いますので丁寧に説明しますね。

組織は、何かを遂行するために結成しますので、役職や階層をつくる前に「役割」が生まれます。

役割は大まかに3つ必要です。

1、日常業務を遂行する役割
2、1の役割を育てるとともに、業務の段取りを組む役割
3、組織の未来を創るプロジェクトを司る役割

トップダウンであろうと自律型組織であろうと、組織には上記の役割が必要です。
これ以上の役割は基本的に不要です。よく「部長代理」や「部長補佐」「部長代行」「部次長」などという役職をつくる会社がありますが、明確な役割が定められていないことがほとんどです。
おそらく、課長よりも「ちょっと上」感を出したかったのでしょう。

役割に対し、3は部長。2は課長。1は平社員などと、肩書を付ければ役職が生まれます。
3→1ヘ向かい命令が降りてくるならば階層構造になります。

このような組織構造であっても、3→1へ降りてくるのが「逆らうことのできない決定事項」でない場合、指示ゼロ経営は可能です。

「逆らうことのできない決定事項」でないとすれば何でしょうか?

指示ゼロ経営では、「リーダーの望み」として、方針やビジョンが提示されます。
それに対し、メンバーは、責任ある質問やら懸念やら、時に反論をします。「責任ある」とは、他人事・傍観者のようないい加減な態度で参加しないということです。反論があるならば、代替案を考える意思を示さなければなりません。

面倒なプロセスに感じるかもしれませんが、普段から社員とコミュニケーションを取っていれば、社員にとって「青天のへきれき」ということにはなりませんし、時間もそんなにはかかりません。

このプロセスに参画することで、方針やビジョンに対するコミットメントが生まれます。その後、各部署で事業計画を立てることになりますが、その際の参画意欲と、実行段階でのパフォーマンスは格段に向上します。

このように、従来型の組織構造でも指示ゼロ経営は可能ですが、小さな会社では、もっと面白く機動的な形を取るところもあります。

それは、社長以外に役職を持たずに、社長が部門長を兼ねるという方法です。
これが抜群に機動力が高い。

部門長を兼ねると言っても、命令を降ろすわけではなく、方針とビジョンを共有したら、後は調整役に徹し、メンバーが主導で計画立案から実行までを行います。

組織は、何かを遂行するために結成するならば、やることが先で、役割決めと組織化は後ということになります。やることが変われば組織も変えなければなりません。
しかし、現実には変えることは難しい。
役職者に対し「やることが変わったから平に戻って」とは言いづらいからです。
組織を変えずに、新しい取り組みをするには組織運営上の、別の工夫が必要になります。

社長が部門長を兼ねることで、このような縛りが消え、柔軟性の高い組織を維持できるのです。
このあり方に対し、「それではキャリアプランが立てられない」と不安がる方がいますが、そんな事はありません。
詳しくは、この記事をお読み下さい。

「指示ゼロ経営には階層はないのですか?」という質問に対し、「階層や役職があってもなくてもOK」と答えるのは、こうした理由からなのです。


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