中小企業によくある「1人何役も担う」は、実は最強の人事戦略という話
零細企業や起業し立ての会社は、人員に余裕がない上に分業化ができていないため「1人何役も担う」ということが当たり前だと思います。
このことは、未熟に思えるかもしれませんが、業務効率とエンゲージメント向上の面ではかなり大きなメリットがあります。
創業期から従事している人は、「人が増え、業務分担を決めてから組織がおかしくなった」という経験をお持ちではないでしょうか?
原因は、木を見て森を見れなくなるからです。自分に割り当てられた業務しかできない、あるは自分の業務さえやっていればいいという部分最適に陥るからです。
僕が経営してきた新聞店でも経験があります。業務効率化を狙い分業化を進めたのですが、電話応対を事務員の専業にしたため、事務員が休んだ時や、他の事務作業で忙しい時でも、他の部署の社員が電話を取らないのです。
気まずい顔をしながら鳴っている電話を眺めているだけです。
電話に出ないことでお客様の不満が蓄積します。事務員のストレスも蓄積します。「何で助けてくれないの?」と不満も蓄積します。業務の流れが滞ることで、仕事も蓄積します。
もし、これが製造現場であれば在庫も蓄積します。
流れの滞りは、リードタイム(工程の始めから終わりまでにかかる所要時間)を長くします。
もし食品を扱う商売であれば、作りたての新鮮な商品をお客様に提供することができなくなります。
1人何役もできるメリットの1つには、素早くヘルプに入ることによる滞りの最小化があります。
他にも、色んな業務を体験することで、自分に合う業務が見つかるというメリットもあります。
自分に合う仕事は、実際にやってみないと分かりません。その理由は、自分が得意だと思っていることは、思い込みである可能性が高いからです。
心理学に「ダニング=クルーガー効果」というものがあります。簡単に説明すると、「人は実際よりも自分を高く見積もる」という心理的効果です。
自分は…
・仲間よりも仕事ができる。
・仲間よりも上司から信頼されている。
・仲間よりもモチベーションが高い。
・今やっている仕事は、仲間よりも上手。
大多数の人がそう思っていると言います。
「苦手だと思っていたが、実際にやってみたら意外と得意だった」あるいは「得意だと思っていたが、自分より上手くできる人がたくさんいた」という経験はないでしょうか?
色々と経験することが適材適所の近道だと思います。
とは言っても、役割分担をしない組織はカオスに陥ります。
そこで…
□木も見て森も見れるように、業務フローを作りの全体像を可視化する。
□業務フローのゴール(組織としての成果)が全員の目標だという共通認識をつくる。
□いつでもヘルプに入れるように、基本業務の標準化を行う。
役割分担を定めながらも、全体最適が維持できるような工夫が必要だと考えています。
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