生きるための「労働」が、自分の人生を費やすに値する「活動」に変わる時
アイデアの創出は、1つのことを考え続ける「思考の累積量」で決まると言われています。
仕事に身が入っている人は、常に頭の片隅に何かしらの課題が置いてあり、ふとしたキッカケ…例えば、散歩をしている時や入浴中に、突然、閃きが降りてくるということです。
仕事に身が入るというのは、最近では「エンゲージメント」と表現されています。
エンゲージメントを持って仕事に取り組んでいる人はどのくらいいるでしょうか?
あまり高くないことは想像に難くないと思いますが、なんと全世界に15%しかいないことが分かっています。(出典:ギャラップ社)
日本に至っては、およそ5%と目を覆いたくなるような現状です。
人類は、まだ人間が持つポテンシャルをほとんど活かせていないということになります。
エンゲージメントを高める要因はいくつもありますが、最も重要な要件は「働く意味」だと思います。
「何のために働くのか?」という問いに、納得がいく答えを持っている人はエンゲージメントが高い傾向があります。
ドイツの哲学者、ハンナ・アーレントは「人間の条件」という著書の中で、働く行為を、次の3つに分類しています。
1、生きるための食料や材を得るための「労働」
2、快適な生活のためのインフラを得るための「仕事」
3、健全な社会の実現や運営に携わる「活動」
「衣食足りて礼節を知る」のごとく、1→3に従いエンゲージメントは高まるわけです。
動物として生きることから、人間として生きることへのステップアップと捉えることもできますね。だからこそハンナの著書名は「人間の条件」ということなのでしょう。
僕は、研修などで「いい会社とはどういう会社ですか?」という問いを投げることがあります。すると、そのほとんどが、賃金を始めとする待遇面ということが多くあります。
2で止まっているということです。
ある時、研修中に2→3に足を踏み入れた方がいたので紹介したいと思います。
それは「いい会社とは?」の問いの次に、「あなたは、家族や恋人、友人など、”大切な人”に、どんな自分を見せ、どんな風に思われたいですか?」という問いを投げた時でした。
その方は、真剣な表情で考えた末に「嫌だな〜」とつぶやきました。
その意図を詳しく聞くと次のようなワケでした。
「自分が会社に求めるものが高待遇なのと同じように、家族が自分に対し、よりよいATM(お金を出してくれる存在)を求めたら嫌だ」
ということです。
自分の行動を家族に当てはめた時に、自分のあり方を客観視したのです。
この方は、家族にどんな自分を見せたいか?という視点で自分を見つめ直しました。
すると「仕事に真剣に取り組む姿」「顧客や社会の役に立ち、誇りを持って働く姿」「仲間と力を合わせ、仲間に感謝され、仲間を感謝している自分」というイメージが湧いてきました。
その上で高待遇だとしたら申し分ないということです。
この方のお陰で、理想の働き方を考える際に、「大切な人の目を借りる」という方法があることを知ったのです。
エンゲージメント5%の現実は「まだまだ伸びしろがある」ということですので、嘆く必要はないのかもしれませんね。
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