遊びと仕事の境界線は、実は非常に曖昧だという話
我が家は、今の季節にになると庭の片隅にある小さな畑でガーデニングを楽しみます。
ある時、庭いじりをしている僕を見た近所の農家のおじさんが、「休みの日に野良作業をするなんて偉いね〜」と言いました。
褒められたことに違和感を感じたのですが、すぐにその理由が分かりました。
やっていることは同じなのに、おじさんにとって野良作業は「お金を稼ぐための労働」なのに対し、我が家にとっては「趣味」なのです。
おじさんは、休日に労働に勤しむ僕を褒めたというわけです。
行為自体は同じようなものなのに、意味合いが変わると、こんなにも解釈が変わるのかと不思議に思ったのです。
似たような話があります。
ゲームばかりやっている子どもに対し金銭的な報酬を与えると、ゲームに対する純粋な興味が、「金銭を得るため」という動機にすり替わり、報酬がもらえないとゲームをやらなくなるのです。
これを心理学では「アンダーマイニング効果」と言います。
こう考えると、企業において「内側から湧き上がる興味とヤル気」が発動しづらいのは、前提となる枠組みが「お金のために」になっているからということが分かります。
もっと正確に言うと「未来のお金のために今を我慢する」という発想が根付いています。
その証拠に、企業の会議では「定めた目標に対する進捗の確認、検証」が議題の中心になります。
別にこれが悪いと言っているわけではなく、作業と段取りの話「ばかりになる」ことが問題だと考えているのです。
意識が、「今ここ」にないものに偏ると、目の前にある美しいものや愉しいこと、喜びに気付かなくなります。
エンゲージメントの高い企業は、日常の中にある豊かさを享受する習慣があります。
「ちょっとした工夫でお客様に喜ばれたこと」
「これまでできなかったことができるようになったこと」
「困っていたら仲間が助けてくれたこと」
「仲間を助けたら感謝されて嬉しかったこと」
「自分の才能がチームのために活きたこと」
これらの豊かさを、未来のお金の手段ではなく、これ自体に価値があることとして満喫しているのです。
こうした環境に身を置くことで、創造性が向上したり、良好なチームワークにより業務効率が良くなったりという副次的な効果が「結果的に」生み出されるのです。
私たちは、未来のために今を我慢するという思考が習慣化しています。
ビジネスは、生活者のモノの欠乏を満たすことで順調な成長を遂げてきましたが、成熟社会に入ると「量的な成長」は限界に到達します。現に、GDP成長率は世界的に鈍化傾向に入っています。
我慢して頑張っても報われない努力を、今後も続けなければならないとなれば、希望が持てず心を病むのは当然のことだと思います。
数字以外の何に着目すれば豊かになれるのか?…そのヒントはあなたの半径5メートルにあると思います。
それが観えた瞬間に、心豊かで瑞々しい世界が出現すると思います。
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それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!
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