<実例掲載> 自社の「働く魅力」で勝負する採用活動の実務
中小企業の人手不足が深刻ですが、足りない人手をどのようにカバーしているか?という調査が日本商工会議所によって行われました。
結果は当然といえば当然ですが、今いる人員でカバーしているようです。
その弊害は、負担の増加だけでなく、「顧客はいるのに営業ができない」「やむを得ず事業を縮小・廃止した」「新規事業の立ち上げを見送った」という、チャンスを逃している企業がおよそ2割あることが、同調査で明らかになりました。
僕にも経験がありますが、人手不足に陥ると気持ちの余裕がなくなり、人間関係がギクシャクします。すると、コミュニケーションが阻害され、仕事の流れが滞り業務効率が悪くなったり、ミスが増えたりします。
何とかしたい事態ですが、小手先の対策ではかえって自分の首を締めることになりかねません。
僕は常々、「安易な賃上げに頼った人手不足対策は危険」と述べてきました。世間が驚くような賃上げができれば効果もあるでしょうが、ほとんどの企業が「どんぐりの背比べ」です。
現に、人手不足が解消できないばかりか、無理な賃上げにより倒産した企業が過去最多を記録しています。
安易な賃上げに頼らず、働き甲斐を持つ人を採用することが対策の王道です。今、世間には、お金のために我慢して働くことに疲弊した人が増えていて、その人たちを狙うのです。
※この件に関しては、こちらの記事が詳しいので参考にしてください。
結果的に、付加価値の高い経営を実現し賃上げにつなげるというシナリオです。
働き甲斐を求める人を採用するためには、求人メッセージを根本から変える必要があり、今日の記事では、その実務を具体的にお伝えします。
先日、関東地方で雑貨を通販する企業から、人手不足の相談を受けました。同社は、受注は順調なのですが、配送の人材不足が深刻化しており現場が逼迫していました。
社長のもとには、毎日のように現場から増員の要請が来るので、募集賃金を上げて対応しようと考えていました。
しかし、その危険性を知り、働き甲斐にフォーカスした求人を目指すことにしました。
改善の実務手順は次の通りです。
1、働き甲斐を、より詳細に明文化する。
2、それを求める人材が自社で働くメリットを挙げる。
3、既存社員で、そのメリットを享受している人をピックアップする。
4、最適な求人媒体を定め、求人メッセージで、メリットとともに、その社員の様子を伝える。
人材像に関しては、「”良い意味での無駄”を大切にする感性を持った人」「他者への思いやりと貢献意欲が高い人」「自発性が高く、仕事を任せられることに喜びを感じる人」が挙がりました。
僕が、「既存社員で理想に近い方はいませんか?」とお聞きすると、社長はAさんという女性社員を挙げました。
そこで私は、「Aさんは、仕事からどんな喜びを得ていますか?」とお聞きしました。
すると、「業務改善のアイデアを自分たちで考え実践するので、やり甲斐を感じている」「仲間同士で助け合いながら業務を進めるため、いつも感謝の気持を感じている」「顧客から“梱包がオシャレで嬉しかった”という喜びの声をいただける」といったことが挙がりました。
これらのことを求人メッセージに書くのです。
求人媒体として、フォロワー数が多い自社のインスタグラムで試したところ、早速、問い合わせが来たそうです。
同時に、既存社員に対しても伝え、「これから入る新入社員とともに、こんな素晴らしい会社を作っていこう」という機運を作ります。
同社には、すでにAさんという最高のモデルがいますが、そういう社員が1人もいない場合は、既存社員と対話し、そういう会社になる決意を固めることから始めなければなりません。
求人メッセージには「これからそういう会社を目指していきます。一緒に作ってくれる仲間を募集しています」と伝えるのです。
決意表明を公言するわけですから非常に勇気が要りますが、採用を機に企業が変容するチャンスになります。
このように、働き甲斐にフォーカスし、付加価値の高い企業を実現することが、人材確保と賃上げの好循環を実現する王道だと考えていますので参考にしてください。
今日の内容をもっと詳しく学びたい方は、3月27日(水)に求人メッセージをつくる「採用術セミナー」を行いますでの、ご参加ください。
⇒【残席8】人手不足の「根本問題」を解決 採用術セミナー
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。