社員が「自立」すると組織崩壊を引き起こす危険性があるという怖い話

社員に自立…「自ら考え行動すること」を求める経営者は多くいますが、自立は組織を破壊する危険性を秘めています。
善であり美徳とされてきた行動様式が、組織を破壊すると聞くと「まさか?」と驚くと思いますが、僕はそんな場面を多く見てきました。

その理由は「何を自ら考えるか?」…考えるテーマが共有されていないと、ベクトルが一致せず、1人1人の力が集結しないからです。

それどころか対立を招きます。
僕は社内の対立をたくさん見てきましたが、そこには悪人はいませんでした。会社を悪くしようと思っている人もゼロでした。
ただ1つ言えることは、みんな自分の考えを明確に持っている、つまり「自立した人の集団」だったということです。

勿論、自立は大切なことですが、もう1つの概念が必要だと考えています。
それが「自律」です。
文字通り「自分を律する」ということですが、ということは、律するための判断基準が必要ということになります。
それはどんなものでしょうか?
ルールも1つの基準ですが、ルールというのは「してはいけない事のリスト」ですので、自律ではなく他の外圧による「他律」です。

自律とは、もっと自由なあり方だと思うのです。
みんなが心から望むものがあり、そこに向かい自分にできる最大限のことを提供し合う関係性のもとで醸成されるものです。

ということは、チームに「みんなが心から望むこと」が必要ということになります。
そして、自律を継続させるためには「望み続けるもの」が必要ということになります。

つまり、すぐに叶う短期的な目標ではなく、なかなか叶わない「中長期的な願い」が必要という結論に至るわけです。

自律性の高い企業で、社員さんに「望み続けるもの」をヒアリングすると、大きくわけて2つの望みが浮き彫りになります。

1、顧客にうんと喜ばれたい。
2、仲間といい関係で仕事を愉しみたい。

この2つの特徴は、量的なものではなく「質的」な価値ということと、人間関係が介在するものだということです。

量的な目標の追求は、想像しただけで疲れてしまい望み続けることはできませんし、そもそも市場の制約があるので「量」は有限なのです。
関係性に基づく質的な望みは無限です。他者に喜ばれるという悦びをエネルギーにし、望み続けることができます。

ここまでお読みになって「なるほど!だから理念が必要なんだ」とお気づきになった方も多いと思います。

なかなか叶わない望みを設定すると、「現象として」自律性が発動するのであって、直接、手に入れようと思って手に入るものではないということです。


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