中小企業だからできる「真に人材が活きる」働くカタチ
最近、「ジョブ型雇用」という言葉を聞くようになりました。
戦略に合わせ、適したスキルや経験、資格を持つ人材を雇用する方法です。
従来の日本では、まず人材を確保してから教育し、ポジションに就けるやり方を取る「メンバーシップ型雇用」が主流でしたが、経団連がジョブ型雇用を後押ししたことで導入する企業が出始めています。
料理で例えると、「今日はタイ風カレーを作る」と、明確な目標を決めてから必要な食材を調達する方法です。
僕は、ジョブ型の話を聞く度に、そんなことが中小企業でできるのか?と疑問を抱きます。
そもそも、中小企業では、必要なタイミングで都合の良い人材は来てくれません。
大企業のビジネスは、マジョリティのニーズを掴む「王道」を走る上に、パワーがあるので、比較的、自分のペースで事業を進める事ができるから、ジョブ型が可能なのだと考えます。
中小企業は、小さな船で荒波の上を揺れに揺れながら航海するようなもので、非常に不安定です。
ジョブ型で採用したは良いが、やることが変わったら「方向性が変わったから辞めてくれ」と言うのでしょうか?
そんな理由から、多くの中小企業経営者は、ジョブ型には関心がないと思います。
とは言っても、小さな船で、これからさらに荒れ狂うであろう大海原を、どの様に進めば良いのでしょうか?
中小企業の利点は、小回りが利くことだと言われます。
その利点を活かした方法を料理で例えると、今、冷蔵庫にある食材でクリエイティブなメニューを考えるという方法です。
「今日は中華を作る」といった大まかな方向性を決め、最適なメニューを探るのです。
大企業の下請企業は別ですが、見込み事業をやっている中小企業には、この力が求められると考えています。
当社は、20年間に渡り指示ゼロ経営を実践してきました。
ある時、「指示ゼロ経営を地域の人たちとやろう」というアイデアが生まれました。
地域には様々な課題がありますが、今のように生活スタイルが多様化した時代では、すべてを行政が解決することはできません。地域の課題は地域の人たちが解決するのが最も有効だと気づいたのです。
方向性が決まったら、次に大まかなビジョンを描きます。
例えば、「◯◯地域の山ではキノコが採れるから、地域でキノコ祭りが企画され、町中の人が集まって盛大に開催されている」といった未来を描きます。
ビジョンが描けたら、「冷蔵庫」を開けます。そこにある食材(人材)でメニューを考えるわけですが、指示ゼロ経営では役者は自分たちで決めます。
ビジョン実現のために、「自分だったらこれができる」と立候補形式で、やることが決まっていくのです。
このように自律的に決めることができると、変化に即応できるしなやかさが生まれます。
もし、これらの一連をリーダー1人でやったら、説明やら調整やらが多く、時間がかかるし、メンバーは自分事にすることは難しいと思います。
これからは、ジョブ型でもメンバーシップ型でもない、新しい組織論が必要になると考えています。
それでは今日も最高の料理をつくりましょう!