社員の力を借りて、「賃上げできる」企業になる

友人の経営者は、昨今の物価高を受け、インフレ手当を「一時金」として支給しました。
当初は、ベースアップで対応しようと思ったそうですが、その危険性を検討し、一時金にしたのです。
検討には僕も加わりました。

企業は、無い袖は振れません。
古今東西、様々な企業を調査した結果、賃金は、売上総利益に比例することが分かっています。

友人の会社は、この『仕組み』を社員さんが理解していません。
理解がないところでベアをすれば、社員さんは、社長に依存し、考えなしに賃上げを要求するようになる危険性があります。
まるで、家計のことを一切考えずに、お小遣いUPをねだる子どものように。

社員さんの生活の安定と、リスクを勘案して出した結論が一時金だったのです。

友人は、一時金を支給した上で、次の施策の準備を進めています。
それは『仕組み』をつくり、「賃上げできる企業になること」を社員さんを巻き込んで実現していくというものです。

ここで、賃金の性質を確認します。
賃金は「衛生要因」と言って、ある一定水準を下回ると、不満になりモチベーションや生産を下げますが、水準を超えると、ほとんど影響しないのです。

また、「頑張れば賃金を上げてやるぞ」という、ニンジンをぶら下げてヤル気をコントロールすると、自発性も創造性も破壊されることが分かっています。
※この件に関しては、この記事を参考にしてね。
社員のヤル気を刺激するために導入された賃金制度が上手く行かないワケ

友人は、制度を、社員さんをコントロールするのに使うのではなく、「社員さんと一緒に活用すること」を考えているのです。

その手順は次のようなものです。

1、賃金が売上総利益に比例していることを社員さんに知ってもらう。
2、売上総利益は、「みんなの協働」でしか作れないことを知ってもらう。
3、仕事の進め方を「協働型」に変える。
これまでは、社長が経営計画を作り、個々の社員さんに仕事を振り分けてきましたが、それだと、社員さんが、自分に割り当てられた「部分」しか見えずに、チームワークが機能しませんでした。
それを、経営計画づくりに社員さんが参画してもらう事で全体像を理解するようになります。
その上で、割り当て(誰が何を担当するのか?)を自分たちで決めてもらうようにします。
4、チームワークで仕事に取り組む愉しさを満喫してもらう。

つまり、賃金制度で企業の活力は高まらないが、賃金決めの根拠があることで、納得してスタートできるようにしたいと思っているのです。
いわば、ロケットの第1燃料です。

スタートしたら、仲間と協働する愉しさを満喫し、仕事に没頭してほしいのです。
それが、結果的に売上総利益をつくる一番の方法だからです。
ロケットの第2燃料への移行です。

その先に、第3燃料への点火がありますが、それは、また別の機会に!

賃上げできる企業になるためには、制度だけでなく、その「使い方」が重要です。

賃上げムードの高まりは、この先10年以上は続くと考えています。
賃上げで企業の活力を失う企業と、上手に活用して企業の活性化に繋げる企業に明暗が分かれると思います。

ぜひ参考にしてください。

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ゲームを通じ、自律的なチームワークで仕事に取り組み、賃金が増える(減ることもある)体験をし、制度と使い方を学びます。
楽しいよ。

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