お金の計画ではなく、喜びの計画から始める経営の設計
僕は、経営者になって間もない頃、ビジネスモデルは「儲けの設計図」と習いました。
新聞業界がビジネスモデルの賞味期限切れ間近で、一生懸命に勉強をして、新しいビジネスモデルを考えました。
しかし、一向に有効なビジネスモデルがつくれず悩んでいました。
そんな時に、師匠から指摘を受けたのです。
お金は価値を運ぶ「媒介」です。
価値とは、人間の感情でつくられます。
感動するとか、嬉しいとか、ホッとするとか、課題が解決して安心だとか…ひとことで言うと、喜びです。
価値の本質は、モノの側にあるのではなく、人間の側に存在するものという指摘です。
そう考えると、ビジネスモデルは、何かしらの喜びをつくり出すことを一番最初に考えなきゃいけません。
僕が苦労した原因は、モノとお金にばかりフォーカスしていたことでした。
新聞店は地域密着型の商売なので、とにかく人を見て、人と対話をするようにしました。
すると、色んな困りごとが見えてきました。
それらは、個々人の課題というよりも、地域全体の課題だということが分かりました。
しかし、それらの課題は、あまりに多様なため行政では限界があります。
そこで、「地域の課題は地域で解決する」という自律型地域を目指し、社会課題解決型のビジネスモデルを確立しました。
ビジネスモデルの本質が「喜びの創造」であるなら、喜ぶ人の数が多い方が良いということになります。
先日、茨城県神栖市にある「谷川クリーニング」(谷川祐一社長)が主催する「鹿行会議」に参加しました。(同社は、ホワイト企業大賞の受賞企業です!)
地域活性化を目的とした、非常に自由な集まりでした。
会議で、谷川社長が、「コインランドリーを併設した新店舗にフリースペースを作り、地域の方のために開放する予定なのですが、スペース活用のアイデアを教えて下さい。」と参加者に呼びかけました。
人は頼まれると張り切ります。
ワイワイガヤガヤの活性化したアイデア会議が始まり、およそ90分後には、ワクワクするアイデアが出ました。
その中に、すごく魅力的なアイデアがあったのです。
神栖市は移住が多い市なのですが、移住者の中には地域コミュニティに溶け込めず、寂しい思いをしている方がいます。
そんな方のために、フリースペースで、毎日、コインランドリーの待ち時間で学べる講座をやろうというアイデアが出ました。
「ヘッドスパ」「ネイル」「ヨガ」「マッサージ」「ヘアメイク」など。
講師は、これから起業を目指す方で、このスペースで顧客づくりをして、ある程度、顧客が付いたら神栖市内の空き店舗で本格営業を始めるというアイデアです。
すごくないですか?
喜ぶ当事者、登場人物が多いこと多いこと。
素晴らしいデザイン力に、僕はただただ脱帽したのです。
地域に喜びの循環が生まれ、喜びを運ぶ媒体であるお金が回るわけです。
このアイデアの発表を聞いていて、昔、師匠に言われたことを思い出して、今日のブログを書いたのです。
ビジネスの本質は「喜びの創造」です。
喜ぶ人の数が多い、喜びのデザインを考えてみると、これまでにないビジネスモデルができるかもしれません。
いや〜、商いは愉しいですね!
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