心理的安全性は最初からあるのではなく「超えてみたら安全だった」という体験で獲得するもの
心理的安全性は今や、組織力を測るバロメーターのように使われています。
僕が初めて知ったのは10年ほど前ですが、初めて聞いた時は「何それ?」でした。
周りもそんな感じだった。
それが今では、ビジネスの勉強をしている人なら大抵知っていますよね。
心理的安全性という心理学の用語がビジネスの世界で使われるようになったのはGoogle発端だったと思います。
成果を上げるチームとそうでないチームとの間にある最も大きな違いが心理的安全性だったと言います。
自由に発言でき、間違ったことを言っても馬鹿にされない。
自分の弱い部分をさらけ出せる。
相手の弱い部分を含め尊重できる。
チームがそんな風になれば一体感が生まれるし良いアイデアが出るし、助け合いも起きるから業務効率だってとても良くなります。
心理的安全性ってその響きから、とても優しい世界に思えてしまいますが、決して優しいだけの世界じゃないと思っています。
僕は見せかけの心理的安全性を体験しています。
表面上は「本音を言おう」「互いの違いを認め合おう」なんて言っているけど、実は1人1人は殻に閉じこもっている状態です。
それぞれがその状態で当たり障りのないコミュニケーションしかしていないのです。
ぬるま湯のような居心地の良さね。
僕が経営してきた会社で、本当に心理的安全性が生まれた瞬間、その瞬間の直前まで心理的に危険を感じる時間が流れていました。
会議でどんな話し合いをしていたかは忘れましたが、まずもって僕が本音を言えない状態で、なんとも重苦しい空気が流れていました。
具体的な内容は忘れましたが、本音は「みんなの力を貸して欲しい」ということだったのは覚えています。
それを打破したのは女性社員でした。
「社長という立場は1人しかいないから、どうしても1人で抱え込んじゃうのは分かるけど、でも頼りにしていいんだよ。そうじゃないと私たちも困るのです」
聞いた瞬間にすべての力が抜けて自然と涙がこぼれ落ちました。
この言葉、愛に満ちているとともに厳しさを含んでいます。
きっと女性社員も言うのをためらったと思います。
でも、その「一線」を超えて口にしたからこそ生まれた心理的安全性でした。
心理的安全性は最初から用意されたものではなく、「超えてみたら安全だった」という体験で獲得するものだと思ったのです。
そういう意味では、もし今、苦しい闇の状態にいるとすれば、それは光に近づいているのかもしれません。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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