この国が、もう一度希望にあふれる国になるために
僕が大学を卒業したのは1995年です。
つまり「失われた30年」をずっと社会人として生きてきたわけです。
1997年にまさかの山一證券の倒産。
その後、勝ち組負け組なんて言葉が登場しました。
誰も助けてくれない、だからすべては自己責任で、という風潮が広がりました。
多くの企業がアメリカ型の成果主義賃金制度を導入し、社内の仲間が突然ライバルになりました。
社員間の競争を煽った企業では仲間が敵になりました。
1999年、「恐怖の大王」は来ませんでしたが、世紀末感が漂っていました。
今、思い出しても気の休まることのない慌ただしい時代だったと思います。
あれから20年以上が経ち、今、僕にはある思いがあります。
僕はキャリア教育で若者と接する機会が多いのですが、「将来に希望が持てない」と感じている若者が多いと感じています。
それは僕の感覚だけでなく、データからも読み取れます。
内閣府が世界の若者を対象に行った「諸外国の若者の意識に関する調査」では「希望がある」と答えた日本の若者の割合は世界で最低レベルでした。
さて、今、新刊の執筆中につき色んな書籍を読んでいます。
その中で、とても興味深く、そして恐ろしい「希望を扱った本」に出会いました。
「日本の若者はなぜ希望を持てないのか」…(鈴木賢志著 草思社)です。
先ほど紹介した内閣府の調査をもとに多方面から検証した良書です。
同書を読めば読むほど危機感を感じるとともに、「次世代に希望のある社会を渡したい」と思うようになりました。
僕らの世代は自分たちなりに必死で頑張ってきましたが、希望のない社会になったのは事実です。
別に罪滅ぼしではありませんが、希望ある社会を次世代にバトンタッチしたい、そんな思いが強くなってきました。
昔は高度経済成長が私たちの希望を担保してくれました。
今はそれがありません。
大きな会社では「ピラミッド型の組織をのし上がる」ことを希望にする人がいると思いますが、中小企業にはそれはありません。
そんな中、ここ数年、僕が関わった中小企業で、新しい希望を持った会社に出会ってきました。
それは決して業績好調の企業ばかりではない。
新しいビジネスモデルを持っているとも限らず、お金が潤沢にあるとも限らないのです。
まったく新しい希望…それは…
「この仲間となら何とかなる」
という希望です。
先ほどの書籍、「日本の若者はなぜ希望を持てないのか」の中にこんなくだりがあります。
(日本は)受験や就職で一度失敗すると、それをなかなか挽回できない。将来に希望を持っている若者の少なさには、そんな日本の社会システムの硬直性が端的に表れている。逆に言えば、日本の社会システムをより柔軟にし、一度失敗して今がダメでも、明日は成功する可能性があると思える世の中にすることが、希望を持つ若者を増やす最も確実な方法である。
僕が出会った希望に満ちた企業には非常に高い柔軟性があります。
まず組織が柔軟。
以前のようなピラミッド型にガッチリ作り込まれたものじゃない。
やることに応じ柔軟に個々の役割を変え、組織の形も変わるのです。
だから、もし挑戦が失敗に終わっても次の挑戦がしやすいし、「出世街道から外れた」なんて絶望もないのです。
また、1人1人が自分の役割を持ち、それをまっとう出来るように仲間同士で学び合い助け合うチームワークがあります。
指示ゼロ経営では「1人も見捨てない」をチームワークの行動原理としていますが、これが実現すると何かあっても大丈夫という明るい未来…なんとかなると感じられるんですよね。
(※「1人も見捨てない」という考え方は、『学び合い』の開発者、西川純教授から教えていただきました)
来年に出る予定の新刊の構想を考える中で、偶然にも出会った書籍から、僕は自分がやるべきことを感じ始めたのです。
稼げれば希望が持て幸せな人生になるとは思いませんが、豊かな人間関係のもとで人生が物心ともに良くなっていく、そんな希望にあふれた体験ができるとしたら企業が最適だと考えるのです。
次世代を視野に入れた企業風土づくりを!
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それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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