個々にではなく「集団に」課題を与え集団で考えさせると凄い組織になる

職場では部下1人1人としっかりと関わるリーダーは良いリーダーと評価されます。
学校では生徒1人1人と関わる教員は良い教員と評価されます。

僕はこの常識を疑っています。
2つの理由からです。

1つは、自律型組織を前提とすれば、という理由です。
自律型組織ではチームで課題を持ち、みんなで学び合い、知恵を出し合い協働で活動します。
リーダーの限界を超えたアイデアが出ますし、何よりも現場で判断して動くので早いのが特徴です。

これが習慣化されると、集団が1つの生命体のように観えてくるのです。

そうなると、自ずとリーダーは「集団という生き物と関わる」というスタンスになります。

対し、従来の組織体はリーダーが部下と1対1の成長対話、あるいは報連相を通じ仕事を進めていきます。

自律型組織ではリーダーは常に集団と関わります。(深刻な悩み相談は例外です)
その時に、誰か1人がリーダーに相談に来たとします。
そこで1対1のやり取りをしてしまうと、それを見た周りのメンバーが同じことをし始めます。
すると、気づくと以前の形に戻ってしまうのです。

自律型組織においては、リーダーは1人1人と関わると上手くいかなくなるのです。

僕が1人1人と関わることへ疑問を感じているもう1つの理由は、そもそも1人1人と関わる事は時間の制約から難しいと考えるからです。

今、リーダーも自分の仕事を持つプレイングマネージャーが多いと思います。
メンバーとの関わりに1時間も取れる人は非常に少ないと思います。
仮に1時間取れたとして、部下が5人いたとします。
すると1人あたり12分です。

しかし悩みを抱えている部下に多くの時間が割かれますので、ほとんどのメンバーは関わりがゼロなんてことが起きています。
物理的に無理なのです。

学校はもっと大変です。
小学校の授業時間は45分ですが、30人学級の場合、1人あたり90秒ですからね。

ちなみにとあるベテラン教員に聞いたのですが、子どもたちと1対1で関わると学級内に問題が増えるそうです。
その理由は、悩んでいたり問題を抱えている子が先生に関わってもらっている様子をみた周りの子どもたちの中に「問題を起こせば関わってもらえる」と学習する者が出るからだと言います。
怖いことですよね。

リーダーは誰かに偏重して関わっているので、自分は1人1人とか変わっている自負を持つのですが、それは思い込みであるケースが多いのです。

リーダーに1人1人と十分に関わる時間があるか?
リーダーが常に正解を示すことはできるか?
リーダーが三人寄れば文殊の知恵を超える知恵を個々から引き出せるか?
現場が自律的に動く早さよりも早い対応が常にとれるか?

今の時代において、多くの企業にとって自律的に動く組織を育てる方が、従来のスタイルよりもかなりマシだと思うのです。

というわけで今日も素敵な1日をお過ごしください。

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