不安が愉しいに変わる、希望に変わる新しい経営と働き方
今の時代の空気をひとことで表現すると、「不安」ではないでしょうか?
これはコロナ禍だから、というわけではなく、ずっと続いている社会の気分だと思います。
僕が社会に出たのは1995年、後に「失われた30年」の初期でした。
モノに溢れ、大量生産・大量消費に裏打ちされた経済成長時代が終わり、本格的な成熟社会に入った頃であり、同時に労働人口も減少に転じた年でした。
それまでは「明日は今日よりも良くなる」と思えた時代です。
良くなる、というのは経済のことね。
とある特集番組で70代の方に当時を振り返ってもらうコーナーがありましたが、経済が成長するので気持ちが攻めになり、「貯金をしない」とか「挑戦意欲に満ち溢れていた」とか、とにかく開放系だったことが分かります。
今のように成長が予感できないと人は守りに入る「閉鎖系」の心持ちになります。
例えば、ここ30年間、日本は賃金が増えずに内部留保が増えています。
経営者がケチだからじゃない。
怖いからです。
もう、「経済が向上する=成長=幸福」という枠組みから脱却しなくちゃいけないと思うのです。
脱却することが新たな繁栄につながるとも考えています。
例えば、先日、妻に誘われて素敵な花屋さんに行きました。
40歳くらいの女性が1人で切り盛りする小さなお店でしたが、店主から「お花が大好き」という気持ち、「お花がある豊かな生活を送ってほしい」という思いが伝わってきて、とても良いひとときを過ごしました。
何よりも、店主がとても幸せそうでした。
妻に聞いた話ですが、このお店、インスタグラムが人気でファンが増えているそうです。
僕らが行った日も狭い店内に行列ができていました。
地域一番店になろうともしていない、年々、右肩上がりの成長を目指しているわけでもない、勝ち組になろうとしているわけでもない…日々、大好きなお花と人々に囲まれて仕事をすること自体が目的になっているのだと思いました。
その結果、ファンが増え豊かな商いができています。
そして「大好きな事と、大好きな仲間」があれば不安の少ない毎日を送れると思うのです。
先日、指示ゼロ経営の実践発表会を行いました。
あるIT系の企業の女性リーダーに登壇していただき、6人のチームが1年をかけて指示ゼロチームに成長した軌跡を発表していただきました。
その中で、メンバーのある男性スタッフが言ったことが、僕にはとても嬉しかった。
その方、以前は「チームが上手く回った経験なんて一度もない」と言っていたそうです。
そして、自分の仕事以外のことは引き受けたがらなかったそうです。
その理由は、引き受けた後に誰も助けてくれずに1人で抱え込んだ辛い経験があるからです。
その方が、指示ゼロ経営になってからは業務を依頼されると快く引き受けるようになったそうです。
仲間は絶対に自分を見捨てないという確信があるのです。
「このメンバーだったらなんとかなるっしょ!」と言ったそうですが、僕は、その希望の気持ちがとても嬉しかったです。
みんなで知恵を出し協働する中で、自分の居場所ができたり、仲間に感謝しながら働くことから幸福を得られること。
幸福が高価値の経営を実現すること。
そして自分たちのあり方が「この仲間とならどんな事があってもやっていける」…そんな自信を生んだら、今よりももっと愉しくなり希望が持てると思うのです。
指示ゼロ経営がそんな社会実現の一助になればよいなと思っています。
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。
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