自発性、創造性、責任感は工程の一部ではなく「ひとしごと」担当するから生まれる
ロボットの語源は「ロボタ」というチェコ語だそうです。
意味は「強制労働」
SF作家が電車に詰め込まれ工場に向かう労働者を見た時に、彼らの表情が機械人間のようだったということで付けたと言われています。
う〜ん、暗いなぁ 笑
ロボットは実は人間のことだったのです。
現代の経営は100年以上前に開発された「科学的管理法」(F・テーラー)に基づいています。
全体の作業の流れを細分化、その業務を実行するために最も良い方法を開発します。
そして、それを遂行するために画一的な教育を行い、教育の通りに作業をし生産性に貢献した人材を評価します。
ベルトコンベア方式はその代表です。
僕の友人に大手製造業で働く男性がいますが、彼は毎日、「金属の棒を何かの装置に入れる作業」に就いています。
変な表現をした理由は、彼はそういう説明しかできないからです。
なぜなら、信じられないかもしれませんが、彼は自分の作業によりどんな製品ができるかを知らないからです。
彼は趣味の話しや家族の話しをする時は人間らしい目をしますが、仕事の話をする時はロボットのような冷たい目をします。
実は、彼は副業で、僕が経営してきた新聞店で配達のアルバイトをしていました。
ある時、彼にこれからの経営にとってとても大切なことを教えてもらいました。
当社ではベルトコンベア方式はとっていません。
「ひとしごと」担当します。
例えば新聞配達の作業は、①新聞にチラシを入れる工程 ②配る順番に組み合わせる工程(1軒目は朝日新聞、2軒目は読売新聞といった具合に) ③配る工程、の3工程で成り立っています。
通常は各工程に専属のロボット(人間)を配置しますが、当社では①〜③を1人が担当します。
先代の父の時代からそういうスタイルでした。
さてある日、件の彼が「社長、この方式の方が良いよ」と言ったのです。
理由を聞いたら次のように言いました。
1、ベルトコンベアに使われるのではなく自分で仕事をコントロールできる
2、責任感を持つ
3、成果に対する喜びが格別
こんな事も教えてくれました。
昼間、働いている製造業では従業員にストレスが溜まるので休憩時間や福利厚生などが充実しているそうです。
でも、それが彼には面白くない。
なんだか可哀想な労働者と扱われているような気がするそうです。
それが「ひとしごと」担当する当社では、休憩など全てが各自に委ねられています。
言ってみれば放ったらかしね 笑
それが、信頼されている、人間扱いされていると感じるそうです。
徹底的な管理下と自由裁量の両方を知る彼の言葉は説得力が違います。
僕の経営スタイルに影響を与えた存在です。
以前はモノを効率よく作って市場に流すことが企業の命題でしたから、人間も効率化の一部に組み込まれていました。
いうまでもなく今は創造性の時代です。
「ひとしごと」を合言葉に仕事のやり方を見直してみてはいかがでしょうか。
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また、僕が指示ゼロ経営を始める原体験と思いを綴った記事も参画にして下さい。
「指示ゼロ経営とは?」