評価制度で成功する組織、失敗する組織

人事考課、評価制度を取り入れている企業は多いと思います。
しかし、評価を処遇(賞与や昇給)に反映させているケースでは上手くいっていない企業が多いと感じています。

評価は通常、相対評価で行われます。
例えば社員をS・A・B・C・Dの5段階で評価し、賞与のパイ(総額)を成績に応じ差をつけて分配します。
多くもらえる人とそうでない人に分かれますので競争原理が働き、それが企業の活力になると考えて作られた制度です。

しかし、導入した多くの企業がその後見直しました。
企業の活力を奪い生産性が落ちたからです。
僕も20年ほど前に導入しましたが、組織がズタボロになり止めました。

その理由は、協働・共創が破壊されたから。
組織は、1人ではできない事を成し遂げるために結成されます。
1人1人が全体を見て、自分にできることをやるのが協働ですが、相対評価では自分の成績が上がらない仕事はしたがりません。
個々の力が組織力に繋がらないのです。

また、相対評価では自分が仲間を助けたことでその人の成績が上がると、自分の成績が下る可能性があります。
聖人君子でもなければ助けるわけがない。

そこで今度は「仲間を助けたか?」という評価項目を入れるようになります。
しかし、助け合いとは「助ける側」と「助けられる側」のコンビネーションで成り立ちます。
仲間が困っていたら助けるだけでなく、自分が困っていたら助けを求めることで成立します。
しかし、相対評価では自分が困っている時に助けを求めない可能性があります。
だって、仲間の評価が上がれば自分が下る可能性があるから。

人間として当然の合理的行動が組織の活力を奪うという不条理が起きると考えています。

さらに、低い評価を受けた人が「よ〜し、次は頑張るぞ」となるかといえば、そうとは限りません。
なぜなら、低い評価を受けた=罰を受けた、と解釈し、もう罰は精算されたと考える性質が人間にはあるからです。

こうした数々の不条理が起きると、つい「ウチの社員は教育が足りない」と思ってしまいますが、そういう問題ではなく、環境がそうさせているのです。

何も、評価が悪いわけではありません。
評価・考課は人が育つために大切なものです。
問題なのは、処遇を決めるために使われていること、そして個人主義に陥ることです。

ある企業では、評価はするが処遇には反映していません。
また、評価はみんなで行っています。

まずはチームの状態をみんなで分析します。
その上で、より良いチームになるために個々の行動を振り返り、何が出来るのかを話し合います。
とても未来志向の方法だと思います。

またメンバーが、小さなパイを奪い合うよりもパイを大きくする方が得だという、長期的な損得勘定ができています。

評価、考課が個人主義に拍車をかける要因になっていないか?
チームが育つようつ活用されているか?

チェックが必要だと思っています。

それでは今日も素敵1日をお過ごしください。

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