「上司のお陰」ではなく「仲間のお陰」と部下に言わせるリーダーになろう

マネージャーに要求される役割は1人ではこなせない

役割基準を設けている企業は多いと思います。
等級別に役割が決めれれており、例えば、1等級(一般社員)は「日常業務を、上司の指示を受けて仲間と協力して実行し成果を出す」というものです。

要するに社員に求めるものを明確にするものね。
当然、等級が上がれば、より高度な事が求められます。

中間管理職などは「担当部門の課題設定」「目標管理のマネジメント」「部下の人材育成」「部下のモチベーション管理」など、難題を要求されます。

インターネットを見ると様々な役割基準が紹介されていますが、正直、僕にはこなせないと思って見ています。

僕だけじゃない。
多くのマネージャーが「物理的に無理」と言います。
「無理は嘘吐きの言葉」と言う人もいますが(笑)、無理なものは無理なのです。

例えば、5人の部下がいて、上司に部下の指導に使える時間が2時間あったとしても、1人あたり、たった24分です。
今はプレイングマネージャーが多いから、実際にはこんなにも割けないと思います。
それを何とかしようとすると、労働時間が長くなります。上司も部下も。

実は、優秀なマネージャーは部下の力を借りる能力に長けています。
自分に求めれる役割基準をチームに分散させるのです。
そういう優れたマネージャーの事を、僕は最大級の称賛の気持ちを込め「名ばかりマネージャー」と呼んでいます。

優れたマネージャーは役割を少しずつチーム内に分散させる

担当部門の課題設定

名ばかりマネージャーは問題提起が上手です。
それは、ただ提起するだけではなく対話をします。「私はこう考えているが、みんなはどうかな?」と。
一見、手間に思えますが、この時間が後に効いてきます。
人は参画した分だけ物事を自分事にします。
チームの課題設定という最初の出発点から参画することで、その後の進みがスムーズになる事を知っているのです。
課題設定をチームに分散させているのです。

目標管理のマネジメント

全体の進捗はマネージャーだけが知っていて、部下は自分の進捗だけを見るというケースが非常に多いですが、優れたマネージャーは「全員の進捗と全体の進捗」を、「全員が」見えるようにします。
進捗が遅い人にプレッシャーをかけるわけではありません。
メンバーに「自分だけできてもダメ」という事を知らしめるため、そして助けいを促すためです。
支援をチームに分散させているのです。

部下の人材育成

人は一方的に教わるときよりも、対話を通じてインプットとアウトプットを繰り返した時に学習します。
これをマネージャーが1人でやるのは時間的に難しい。
また、良い先生とは、①性格的に相性が良い人 ②自分にもできない経験がある人 ③出来ない人より少しできる人です。
優れたマネージャーは学び合う場を作り、チームに分散させているのです。

部下のモチベーション管理

よく「部下をモチベートする」「ヤル気スイッチを押す」なんて言いますが、そんな事をマネージャーがやったら、自立できない人になってしまいます。
誰にも、仲間の頑張る姿から内発的なモチベーションが生まれた経験はあると思います。
優れたマネージャーは、仲間同士の対話、助け合い、学び合いを通じて、チームに分散させているのです。

役割基準で上司に求められている要件を、チーム内に分散させる…だから、一見、名ばかりに見えるのです。
こういうマネージャーのもとで育った人はこんな事を言います。
「仲間のお陰で成長できた」と。

「お陰」も分散されるのです。

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