ヤンキーが立派な職業人に成長した過程から人材育成の要諦を学ぶ

部下を人として成長したいなら、リーダーには「ゆっくりと見守る」という姿勢が求められると思います。
部下はリーダーの思い通りには育たないし、育つとしたら自分で気づいた時です。

今のステージを真剣に生きた者だけが次のステージに行く

例えば、リーダーは部下に働く意義を持って欲しいと願います。
「食うためではなく自己実現を目指して欲しい」「社会に役立つという意識を持って欲しい」…高度なことを要求することがあります。

僕も、以前は「ライスワーク(食うための仕事)ではなくライフワーク(天職)を生きて欲しい」なんて言っていました。
でも、自分の生活で精一杯の人には響きません。

僕は自分の経験から、本人のステージがあると知りました。
自分の生活で精一杯の人は、まずはそこに真剣になること、それがやがて次のステージに向かうと思うのです。

例えば、昔、僕が経営してきた会社にヤンキーあがりのスタッフがいました。
彼の原動力は「昔、自分を馬鹿にしたヤツらをギャフンと言わせたい」です。
どうやってギャフンと言わせるかというと、高級外車に乗るそうです。
(当時は中古の軽自動車)

僕は、彼に成長の要諦を学びました。

高級外車より価値あるものを知ってしまった

ギャフンの原動力は凄まじいものでした。
彼は新聞配達員だったのですが、1日に300軒も配達していました。
休むこともない。
配り間違いもほぼゼロです。

彼に転機が訪れたのは、チームで仕事に取り組むようになったことでした。
新聞配達は個で完結した仕事…朝来て自分が配る新聞をバイクに積んで配るだけなので、チームワークは必要ありませんでした。
しかし、ミスが多い人と少ない人の差が大きく、仲間同士で正確な新聞配達を学び合うようにしたのです。

彼は学び合いの中で素晴らしいお手本を示しました。
その経験を積む中で、彼は自分が仲間の役に立つ喜びを味わいました。
新人が入社すると率先して指導をしてくれました。

数年経って…
僕は、ふと、ギャフンの件を思い出しました。
そして彼に聞きました。

「まだ外車を買わないの?」と。

もう、相当に稼いだし独身なので出費も少ないはずです。

すると、こう言いました。

「もう、あの話はどうでもいいです」

そう、彼はステージが遥かに上がったのです。
仲間と協働する中で自分が他者の役に立つことを知った、自分だけの居場所を見つけたのです。
その気持ち良さは高級外車でもギャフンでも味わうことができないものだと思います。

さて、彼を成長させたのは誰だったのでしょうか?
決して僕ではありません。
協働という環境と、仲間の存在です。

部下はリーダーの思い通りには育たないし、育つとしたら自分で気づいた時。
だとしたらリーダーの役割とはどんなものなのでしょうか?

今日も素敵な1日をお過ごしください。

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