特別な仕掛けをしていないのに人とチームが育つ会社の謎を解き明かす

根本原因に手を打つと様々な問題が消え去る

経営に工夫は必要ですが、あれこれと凝りすぎて経営が複雑になることがあります。
とにかく人は「やる」が好きです。
目標管理制度、評価制度、会議、面談、細かな経営計画書…
さらに「新」と付くもの…新企画、新戦略、新規事業が好きだから、よりやることが多くなります。

やるほどに経営が良くなると思いがちですが、逆だと思います。

以前に、日本サッカー元監督の岡田武史さんが経営コンサルタントとの対談でこんなことを言っていました。

「シンプルに発想すれば、フィールドの真ん中をドリブルしてシュートするのが一番いい。でも、敵はそうはさせてくれないから色々戦術を考えるのだけれども、複雑に凝らないことが大切。シンプルに発想することだ」

「やる」を考える前に「やらない」を考えることが大切だと思うのです。

では、そうすれば「やらない」を実現できるのでしょうか?

それは根本原因に手を打つことだと考えています。
例えば、胃痛で苦しむ人が、胃薬を飲んだり刺激物を控えたりと色んな対策を立てても、根本原因がストレスであれば、そこに手を打たないと、効果がなくやることばかり増えます。

あるレストランではマーケティングを勉強し、様々な仕掛けをしていますが、なかなか繁盛しません。
理由は料理が不味いから。

人材とチームにおいても同じようなことが起きていると思います。
・ヤル気がない、自発性がない
・離職率が高い
・求人をかけても人が来ない…

こうした問題に対し根本原因に手を打たずして、色々とやると余計におかしくなります。

夢がある企業になればすべての問題が解決する

僕はこのことを身をもって体験しました。
僕が経営してきた会社は新聞店ですが、衰退産業である上に、苦労人のイメージがつきまとう業界です。
僕が継いだ25年前は、求人を出しても人が来ないし入社してもすぐに辞めてしまいます。
スタッフのヤル気も自発性も低かった。

そこで求人のテクニックを学びましたし、社員教育にも力を入れてきました。
しかし、効果は限定的。

そんな時に、師匠から「夢がある企業になればすべての問題が解決する」とアドバイスをもらいました。

僕はピンときました。

様々な問題を抱え、それらを個別に対策してきたわけですが、根本原因は「未来に希望が持てない」ということだったのです。
そこで、希望ある未来について考え抜いた結果、2つの要因があることが分かりました。

1、会社が目指す商売の形
2、社員さんの働き甲斐

新聞店が売っているものは新聞ですが、お客様が欲しいことは「この地域で豊かな生活がしたい」ということです。
新聞はその手段です。
そこで自社の事業定義を変えました。
地域密着の利点を活かし、地域の人とともに地域を豊かにする地域づくりの活動にシフトしました。

また、働きがいに関してはトップダウンのやらされではなく、社員さんが自ら考え行動する指示ゼロスタイルを目指しました。

こうしたことを求人広告でアピールしたら、これまで来たことのないタイプの人が来てくれるようになりました。
しかもこれまでにない大人数が。

入社すると、仕事に魅力を感じているので指示しなくても動くし、学ぶ意欲は高いし、今までの悩みは何だったのか?というくらいに変わりました。

これが根本原因なのだと肚に落ちたのです。

根本原因に手を打つと経営はシンプルになります。
コストも労力も少なくなります。

今、何かしらの問題を抱えていたら、その根本原因を探ってみてはいかがでしょうか?

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