経営をややこしくする最大の原因は「望まない人を動かそうとする」こと

経営をややこしくする最大の原因は「望まない人を動かそうとする」ことだと思います。
例えば、社長が立てた売上目標を、社員さんが望まない、あるいは無関心だったら自発的には動きません。
「したい」ではなく「せねばならない」で動きます。

そんな社員さんを動かすためにはアメとムチが必要になります。
檄を飛ばしたり尻を叩いたり、頑張った社員にを必要以上に褒めたり。
ちゃんと仕事をしているかチェックする必要がありますので管理も細かくなります。

労力、時間、コストが増大します。
それらを稼ぐことに使った方が良いと思います。

指示ゼロ経営では、まず最初に「望みの統合」を行います。
皆んなが実現を望むビジョンだったり、目標、賃金制度、福利厚生など、社長も社員さんも望むものを設定します。

自分たちが望むのだから、他人に言われなくても動くのは当然です。
そのあり様は、各車両に動力を持つ新幹線のようです。

新幹線では編成各車両が動力を持っている

では、具体的にどのように望みを統合するのでしょうか?

会社も社員さんも儲かる賃金制度

賃金は社長と社員さんの望みが分離した代表です。
社長は「人件費は低くおさえたい」と願う。
社員さんは「たくさん欲しい」と願う。

指示ゼロ経営の賃金制度の特徴は、経営目標を、社員さんの人件費から算出します。

例えば、売上総利益が1億円で、社員さんの人件費が5000万円の会社だとします。
労働分配率は50%です。(人件費/売上総利益✕100)

もう1つ指標が算出されます。
賃金付加価値生産性と言います。
算出法は、売上総利益/人件費で、上の例の場合、2.0になります。
これは「給料の2倍稼いでいる」ことを意味します。

この2つの指標を使い皮算用をします。
経営計画を立てる時に、最初に社員さんたちに「来期は人件費をいくら増やしたい?」と聞きます。
仮に500万円アップだとしますと、人件費は5500万円になります。

で、2.0をかけた110,000,000円が売上総利益の目標になります。

この目標は自分事です。

目標は通常、社長が立てますが、そうすると社員さんは内心「低い目標にしてくれ〜」と思うものです。

社長と社員さんの望みが統合されるわけです。

参画が望みの統合には欠かせない

賃金の他にも、理念やビジョンも望みの分離が起きています。
別に利害が相反しているわけじゃない。
社員さんが無関心なのです。

理念の文言は記憶しているけど、ただ記憶しているだけという事が多いと思います。
よく「クレド」を使い、理念や行動指針を浸透させる会社があります。
朝礼などで「理念に沿った行動とは?」というテーマで話し合う方法を取ります。
非常に効果があるのですが、それでもやらされ感は否めません。

その原因は、理念や行動指針を社長が作り社員に浸透させようとするからです。
エネルギーが上から下に向かっている以上、真の主体性は生まれません。

主体性の高いチームでは、リーダーが提示した理念の案を社員さんが参画、対話して決めています。
参画するから自分事になる。

しかも、早い段階で参画することが重要だと考えています。

意思決定には「何を」「どんな出来栄えで」「いつまでに」「どの様に」「誰が(誰と」「いくらで」やるか?の6つがあります。
この中でも最も重要な「何を」「どんな出来栄えで」に参画するから自分事になるのです。

理念や行動指針、目標などをリーダーが決め、その先だけ社員さんに任せても主体性は限定的だと考えるのです。

経営をややこしくする最大の原因は「望まない人を動かそうとする」ことにある。

会社の中にある様々な決め事に、社員さんが参画しているかチェックされてみてはいかがでしょうか?