企業にも「縦割り100当番」が必要か
なぜ縦割り組織ができてしまうのか?
政府が「縦割り100当番」を開設しました。
いよいよか!という期待とともに、ようやくか…という感じもします。
市民が課をたらい回しにされたり、同じような書類を何度も提出させられたりと、縦割りの弊害は大きい。
お役所仕事と揶揄されてきたわけですが、これ、企業も同じだと思います。
例えば、製造部と営業部の間に厚い壁があり、顧客創造や顧客満足を阻害することはよくあること。
傍から見るとアホらしい現象ですが、なるべくしてなるものだと思います。
その理由は、人は安定を求めるから。
創業期は1人何役もこなすのは当然のことです。
だから1人1人が全体を観ることができます。
でも、その時に皆んなが考えていることは「早くこの不安定な状況から脱したい」だと思います。
規模が大きくなるにつれ人間の力量ではなく、仕組みで業務を回す必要性に迫られます。
誰がやっても一定のクオリティが保たれる…袈裟さえ着ていれば坊主の格は問わないという世界です。
組織はピラミッド型にしっかりと作り込まれ、部署で区切られます。
すると所属員は自分の部署しか見えなくなる、部分最適が起こります。
人に安定を求めるという性質がある以上、なるべくしてなるものだと思うのです。
こうした状況から脱した事例があります。
どれも部署を超えたチームをつくり上手くいった事例です。
独立採算を止め協働で成果を上げたホテル
あるホテルは「宿泊」「レストラン」「ウェディング」の3つの部門で成り立っていました。
それぞれが独立採算で活動してきました。
各部署が採算をとれば全体も儲かるという考えです。
ところが、当然、縦割り、部分最適に陥り業績が落ちました。
そこで独立採算を止め、グロスで稼ぐという方法に変えました。
3つの部門の中で最も儲かるのはウェディングでしたので、ここで儲ける会社にしようと決め、各部署からメンバーを募りプロジェクトチームを結成しました。
出たアイデアが素晴らしい。
結婚を控えたカップルのためのウェディングフェア(見学・説明会)に来たカップルは、無条件でホテルに無料で宿泊できるようにしました。
独立採算制だったらあり得ないと思います。
実は、シーツやアメニティなど原価は大したことがありません。
するとレストラン部門から提案が出ました。
泊まったカップルのための、お手頃だが内容の良い特別メニューをつくるというのです。
接客にも気合いが入ります。
結果、ウェディングの受注が大幅に増え、見事に業績を回復したのです。
縦割り組織をつなぎ成果を上げた新聞販売店
僕が経営してきた新聞店でもプロジェクトチームで成果を上げたことがあります。
新聞社という組織は完全に縦割り構造になっています。
連携がないのです。
しかし、各部署はそれぞれに良い仕事をしています。
例えば、ある新聞社の営業部門では顧客満足のためにサザエさんのカレンダーを作っています。
年末に、1年のご愛顧に感謝して新聞店からお客様に手渡されます。
出版部門という部署があり高質な本を出しています。
サザエさんの本もシリーズもので出ていて新聞店を通じ販売されます。
当社では、これらの素材を統合しました。
カレンダーは既存客全員に配るのですが、要らない人に配っても喜ばれないということで、当社では抽選でプレゼントすることにしました。
そちらの方が「当たった喜び」も加わるでしょ?
お客様に喜んでいただけるだけでなく、当社には「サザエさんが好きな人のリスト」が出来上がります。
そこにサザエさんの本を紹介する手紙をお届けしたら、すごい反応率でした。
シリーズもので全巻あわせ1万円以上もするものが数十冊も売れたのです。
カレンダーと本…新聞社内にあった素晴らしい資源が顧客創造に繋がっていなかったのですが、それを統合、連携させた事例です。
縦割り組織は、いつか建設的な破壊をしなければならない時が来ます。
しかし、完全にぶち壊しゼロベースから再構築することはあまりにリスキーです。
各部署をまたいだプロジェクトチームで成功事例をつくり、変えるべきタイミングで一気に乗り換えるのが現実的だと思います。
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