何をやったら良いか分からない時は、凄いものが生まれるチャンス

今、この状況下で多くの経営者が迷っています。
AかBかの選択ではなく、そもそも「何をやったら良いか分からない」と言う人が多くいます。
先行きが読めない状況なのだから仕方がないと思います。

しかし、僕は「何をやったら良いか分からない時は、凄いものが生まれるチャンス」そう考えています。
僕の持論ではない。
過去、そうやってイノベーションが起きているのだから。

今日の記事では、分からないから生まれる…その可能性を考えてみます。

行き先が決まっていないバスを用意する

ジム・コリンズの「ビジョナリーカンパニー2」の中に、こんな事が書かれています。

偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。

「人が集った後に目的地が決まる」

これは僕にも経験があります。
1995年、インターネット時代の幕開けの年に新聞店の社長に就任しました。
購読者が激減する中にあり、僕は、なかなか目的地を示すことができませんでした。
それでもゴールを示すのが社長の役割だと自分に言い聞かせ、無理して示しました。
そして、その旅に相応しい人材を採用しました。

しかし、時代の変化が激しいので、向かう先を変更しなければならない。
その役割を僕1人で背負っていたので、僕が示したゴールに到達したことは1度もありませんでした。

そして行き先が決まっていないバスになった。
すると、メンバーから自由な発想が生まれました。
結果、地域づくりの事業が生まれ落ち、その副産物として町営ホテルの管理・運営までやるようになったのです。

「分からないから生まれる」

中空構造と言いますが、何もないものの周りに人が集うとイノベーションが起きる可能性があると考えています。

想いだけを共有した中空構造をつくる

僕のブログをお読みの方はすでにお気づきだと思いますが、中空構造は指示ゼロ経営の組織形態でしか起こりません。
従来型のヒエラルキー(ピラミッド型)は、上の者が示したゴールに向かい、下の者がシャカリキに働くという構造です。
図解するとこんな感じ。

真ん中に「空」があり、その周りに人がいます。
ここに登場する人とは、何も社員だけとは限りません。
顧客であったり取引先であったりと多様です。

この図で重要な点は、人々を囲んでいる「モヤモヤ」です。
これは「抽象的な想い」です。
明確なゴールではない、例えば「1人1人の個性が発揮される場を創りたい」といった想いです。
それに共感した人たちが集い、自由に発言し、自由に行動する中で行き先が立ち現れてくる、そんなイメージです。
エネルギーの場と言い換えても良いと思います。

ここで重要なのが「想い」です。
同時に難しいものでもある。
なぜ難しいかというと、想いとは獲得するものではなく「思い出すもの」だからです。
獲得しようと頑張ると、本に書いているような、取って付けたようなものになってしまいます。
そこにエネルギーはない。

想いは価値観で、価値観はある日突然、降ってくるものではないと思います。
これまでの人生の中で、人との出会いや様々な経験の中から醸成されるもの。
だから思い出すと表現しているのです。

ちなみに行き先を失った、僕が経営してきた会社では「人にはその人だけの役割がある。それが発揮され、誰かのお役に立ち、『私ってイケてるじゃん!』と思える最高の瞬間を創りたい」…その想いだけがありました。

そこから中空構造が出来上がり、「そう来たか!」というアイデアが生まれたのです。

何をやったら良いか分からない…
そこには無限の可能性があると、僕は信じています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。