これからの企業は「雇用していないのに働いてくれる人」の数で繁栄が決まる
これからの時代、雇用の概念が大きく変わると思っています。
雇用関係にはないが自社の思いに共感してくれ力を貸してくれる人が常にいる…そんなパートナーシップが起きると考えるのです。
やることに合わせ必要な人材が集まり、達成したら解散する、そんな関係性が作れたら変化が激しい時代にはとても強いと思います。
今日の記事では、その可能性について考えてみました。
退職しても働く人。お客様なのに働いてくれる人
僕自身、雇用のあり方に疑問を持った出来事が2つあります。
1つは、ある女性社員が寿退社をした時です。
非常に感性豊かで優秀な社員でしたので、僕は失恋をしたようなショックを受けました。
ところが、それからしばらくして…
僕が会社に行くと、彼女がミーティングに参加しているではありませんか。
聞くと、当社主催のイベントの実行委員会になり力になってくれているとのことでした。
その後も、彼女はマーケティングが得意だったので、何か仕掛ける時は彼女に仕事をお願いしました。
また、ヨガのインストラクターを始めたというので、自社でヨガ教室を主催し彼女に講師を依頼しました。
その時に思ったことは「これまでとほとんど関係が変わらないじゃん」ということです。
雇用関係は解除されたがパートナーとして仕事をしている…同じように会社に来て、同じように会議で豊かなアイデアを出し、そして「これまで以上に」がんばってくれたのです。
もう1つの出来事は、当社でパンの宅配サービスを行った時です。
地域のパン屋さんと提携して、休日の朝、焼き立ての温かいパンを宅配したのです。
このサービスを開始し1年ほど経ったある日、あるお客様から提案をいただきました。
それは、その方の畑でルバーブという植物を育てており、それでジャムを作って販売しないか?という提案です。
ラッキーにも地元にジャムの加工をしている会社があり、すぐに商品化することができました。
当時、地産地消の考え方が一般化してきた時期で、お客様に非常に好評でした。
その時に僕が思ったことは、お客様が、あたかも社員のように提案してくれる不思議です。
この2つの出来事が僕の雇用の概念を変える出来事でした。
売り手と買い手、経営と労働…境界線のない経営
こうした関係性は企業にとって大きなメリットがあります。
それは「必要な時に必要な人が集まる」そして「プロジェクトが終われば解散できる」というものです。
変化が激しい時代、さらに創造性が求められるプロジェクトには最適な関係性だと考えます。
こうしたプロジェクトに関わってくれる方のほどんどが自分の活動ステージを持っています。
スモールビジネスをやっていたりNPOをやっていたりと。
その方たちにとってもメリットがあります。
さて、どうすればこうした関係性が築けるのでしょうか?
それは「売り手と買い手の境界線をなくすこと」だと考えます。
また「経営側と労働側の境界線をなくすこと」だと。
それが指示ゼロ経営の基礎を成す概念…「望みの統合」です。
僕が経営してきた会社は新聞販売店です。
新聞を仕入れ配達し集金をする…正確に新聞をお届けすることがミッションです。
しかし、インターネットの普及で新聞購読者が減り、今では全国の新聞店が疲弊しています。
当社では、そんな中で様々な取り組みをしてきました。
例えば、地域の高齢化が進み古新聞の片付けが大変だというお客様が多くいらっしゃいました。
そこで古紙回収のサービスに取り組みました。
しかし、僕はサービス実施に際して大きな不安と心配がありました。
それは、最初は有難がられるが、そのうち当たり前になってしまうということです。
古紙回収を実施した多くの新聞店が、お客様から「お宅から新聞を取っているのだから回収して当たり前」と言われていたのです。
そこで、「売り手と買い手」という境界線をなくす工夫をしました。
具体的には、古新聞をリサイクルに回し換金します。
そのお金がある程度貯まったら、地域の方と実行委員会をつくって地域の方が喜ぶイベントを開催しました。
古紙回収がサービスではなく、地域づくりの活動…地域の方と一緒に創り上げる活動に昇華したのです。
やっていることは同じでも解釈が変わると関係性が違ったものになることが分かりました。
1つの未来に向かう同志・仲間…そんな関係性になると境界線は消え雇用の概念が大きく変わる、そう実感したのです。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。