デキない部下を教育したければ、本人ではなく周りの社員を育てよ
デキの悪い部下に悩まされているリーダーは多いと思います。
リーダーはその部下に多くの時間とエネルギーを費やします。でも、なかなか改善しない。
それどころか、デキの悪い部下に関わりすぎると他の部下を放置してしまい、チームが育ちません。
それどころかチームを壊してしまうこともある。
時間とエネルギーを注ぐべきは、デキの悪い部下ではない、そう考えています。
まったく違った視点で「チーム丸ごと」育ててしまう発想です。
デキない部下は、上司では育てられない
デキない部下に関わりすぎるとチームを崩壊してしまうこともあります。
こんな事例です。
上司は、デキないAさんにマンツーマンで関わっていました。しかし、いくら教えても出来るようにはならなかった。
それには理由があります。
上司は仕事が完全に身に付いているので、デキない、分からない人の気持が分からないのです。
だから上手に教えることができないのです。
よく、専門家の話がまったく理解できないことってありますよね?
あれは、専門家が自分で分かりすぎていて、分からない人が何が分からないかも分からなくなっているからだと言います。
怖いのはここから。
いつまでも育たない部下を上司が見捨てると、他の部下がそれを見て「もしかしたら自分も見捨てられるかも?」と思うはずです。
信頼関係が崩壊しチームは機能不全に陥るかも知れません。
僕はこれで失敗した経験があります。
僕1人で問題のある社員を育てたことがありました。でも、2つの理由で育ちませんでした。
1つは、一方的に教えたことで学びの機会を奪ってしまったのです。
研究によると、私たちが記憶できるのは、読んだことの10%、聞いたことの20%、見たことの30%だそうです。
一方的に教えては人は育たないわけです。
これに対し、自分で言ったことは70%、言って行動したことは90%も記憶できるそうです。
失敗のもう1つの原因は、僕が嫌になってしまったことです。
別に解雇したわけじゃない。「もう、コイツは育たないから、単純作業だけやらせよう」と諦めてしまったのです。
合理的、そして全体のことを考えての判断でしたが、他の社員から評判は悪かった。
1人で抱え込んで精神的に辛い時期が続きました。
育てるべきは、デキない部下ではなく周りの社員である
僕は、この経験から1つの大きな学びを得ました。
それは…
「育てるべきはデキない本人ではなく、周りの社員だった」ということです。
僕ではなく、仲間が教え育てるという構図にすることです。
その方が多くのメリットがあります。
教えた人も育つ
先ほどの学習理論によると、人は他人に教えた時に90%を学習します。教える側、教わる側、双方が同時に育つわけです。
これが世に言う「学習する組織」というやつです。
実は仲間の方が教え上手
僕は経験を積んだので、仕事が身に付いていました。身に付くとは「考えなくても身体が勝手に動く」状態です。
人の成長には段階があると言われています。
「知らなくてできない」→「知っていてもできない」→「知っていて、考えて行動してできる」→「考えなくてもできる(身に付くと)」
僕は出来ない部下が、何が分からないのかが分からなくなってしまったのです。
だから、「知っていて、考えて行動してできる」段階の部下が教えた方が上手なのです。
リーダーが疲弊しない
実は、これが一番大きい効果だと考えています。僕が嫌になって見捨てたら、それを見た周りの社員は僕に不信感をいだきました。
でも僕から言わせれば、やるだけのことをやった最終判断です。
頑張った挙げ句、悪く思われたら僕だって我慢できませんよね。リーダーだって人間です。
頑張りが報われないどころか、悪く思われたら「やってらんねーよ」ってなりますよね?
そんなリーダーが組織を強くすることなんてできません。
リーダーが平静でいることは組織開発で最も重要だと考えています。
ざっと挙げただけでもこれだけのメリットがあります。
育てるべきはデキない部下ではなく、周りにいる仲間なのです。
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。