管理・監視をしなくても部下がズルをしない会社は何が違うのか

塀のない少年院、宿題に解答例を付ける先生

以前に、日経MJ新聞に営業パーソンのサボりを防止するアプリが紹介されていました。
GPS機能を使い営業マンの位置を確認するという代物でした。
笑っちゃうような話ですが、これと同じことが企業で起きていると思います。

監視の発想は至るところにあります。
例えば、営業日報がそうなってしまっているケースもあります。
本来、営業パーソンを支援するためのツールのはずですが、訪問件数、面会率などを記入させる背景にはサボり防止のための監視の意図があるケースがあります。

監視があると部下は「信頼されていない」と感じます。
がんばろうという気持ちは萎えてしまうよね。

監視をしなくても大丈夫な環境をつくることが大切だし、実際にそれをやっている人、組織があります。

塀のない少年院

長野県安曇野市に有明高原寮という少年院があります。
定期的に夢新聞でお世話になっていますが、一番最初に行った時は本当に驚きました。
カーナビが目的地だと言っている場所にあったのは、どこかの企業の保養所みたいな施設でした。
一緒に同行した人みんなが「ここが少年院?」と言った。

日本では珍しい塀のない少年院です。
寮長さんに話を伺い、僕の常識はひっくり返りました。
なぜ、塀がないかと言うと、塀の存在自体が「不信頼の証」になるからだそうです。
少年の更生のためには職員と少年との信頼関係が欠かせません。
塀がある状態ではそれに限界を感じたそうです。
なぜなら、どんなに少年に信頼していると言っても「じゃあ、なんで塀があるの?」と言われてしまうからです。

そこで実験的に塀を撤去しました。
脱走者はいないのか?と心配になりますが、塀の代わりに「ある事」を行いました。

解答例を付けたまま宿題を出す先生

息子の高校時代の宿題は少し変わっていました。
なんと、解答例が付いてくるんです。
僕は、「そんなものを付けたら丸写しするだろ?」と思いましたが、息子は「そんなバカなこと、誰もしないよ」と言っていました。

息子を見ていると本当にズルをせず宿題をやっていました。
自分で解いて自分で採点できるから学習効率は非常に高い。

よく聞くと先生が「ある事」を行っていました。

信頼し対話し、自分で自分をマネジメントできる人を育てる

塀の存在も解答例を付けないのも不信頼の証。
人は信頼されていると実感した時に、本来持っている力を開放すると思います。

しかし、そんなに簡単に人を信頼できるものでもありません。
管理監督者にとっても勇気が要ることです。

少年院も息子のクラスも、何もしないで放置しているわけではありません。
「ある事」をしていました。

それは「意義」についての対話です。
「なぜ宿題をやるのか」「なぜ宿題に解答例を付けるのか」
「なぜ塀がないのか」「どういう生活を送ればいよいか」

これをジックリと対話していたのです。
対話をすること自体が信頼の証になりますよね。

宿題は「出されたから」ではなく、自分で行う意義を考え理解しているから、言われなくてもやるし、解答例を丸写しすることはしません。
自発的な学習をするので先生は採点の手間が省けますよね?

少年院では、意義を理解した上で、脱走のデメリットも理解しています。
脱走者が出たら再び塀が作られる、そうしたら後輩に迷惑がかかることが腹落ちされているのです。
(後輩って表現には笑った。後輩はいない方が良いんだけど…笑)

これは企業でも言えます。
管理・監視のコストは非常に高く付きます。
労力もかかる。
そもそもサボるのも不正をするのも一部の人です。
そのために貴重な時間とコスト、労力を使うのは勿体ないことだと思います。
真面目な人にも不信頼のメッセージを投げかけてしまいます。

組織を健全化するなら意義の対話が欠かせません。
信頼し対話し、自分で自分をマネジメントする…そんな在り方が求められると思うのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

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